隔世の感

Tuduki2007-12-25

年の瀬にトシの話。


三連休中に自宅に無線LANを設置して…なんてハナシはどうでもいいのだけれど、本棚のひとつを動かすために中身を出したときに、つい読んでしまったのが高橋留美子作のマンガ『めぞん一刻』。’80年代のラブコメの大傑作だ。


で、久しぶりに読んでものすごく驚いたのが、「管理人さん」の年齢。
「五代クン」より2歳歳上。ってことは、五代クンが一浪目19歳のときに管理人の響子さんは21歳。……なんだよ、ただの小娘じゃん!


「管理人」で「未亡人」で…と“オトナ”&“おネェさん”なキーワードを並べて、年上の女性に甘えたい読者のオトコゴコロをくすぐって、それでいながら、お姉さんぶってるくせにドジだったりヤキモチ焼きだったりして、“年上だけどカワイイところがあるんだよなぁ”なんてオトコ読者の胸をキュンとさせた管理人さん。……でもじつは20歳を過ぎたばかり、大卒の年齢にも達していない。それじゃ底抜けのドジだったり常軌を逸したヤキモチ焼きだったりしても、別に当たり前じゃん。どこにでもいそうなカワイイ小娘じゃん。


「浪人(のちに大学生)と恋におちる若き未亡人」って設定、2007年の現在ならば29歳(来年いよいよ30歳の大台へ!)くらいが適正なんじゃなかろうか。そのくらいの年齢じゃないと「お姉さんが教えてア・ゲ・ル」みたいなドキドキ妄想が膨らまないよなぁ…と私は思う。今年テレビドラマ化されて音無響子役を伊東美咲が演じていたけれど(未見)、ドラマの出来は知らないが、そのキャスティングはなるほどねェ…と納得できる感じがする。2007年的には。


だけどおそらく、'80年代当時だったら逆に、29歳の管理人さんのほうがリアリティなかったんだろうなぁ……。読者がリアルに妄想できる「年上のお姉さん」の年齢って、マンガの設定どおりの2歳上くらいが上限だったのかも。なにしろ、25歳を過ぎた独身女性を「売れ残りのクリスマスケーキ」に喩えた時代だモンなァ……その喩えでいえば、現代では“大晦日”すらもとっくに過ぎた独身女性が世の中にゃ大勢いる。その代わりに、そんな女性たちを「売れ残り」に喩えるなんて失礼な感性のほうがほとんど死滅したよなぁ…と思う。むしろほんの20年前までそんな昭和レトロな感覚がフツーだったことのほうが、2007年の今では違和感モリモリだ。


村上春樹作『ノルウェイの森』で、主人公の「僕=ワタナベトオル」と「レイコさん」がSEXする場面ではたしか、レイコさんが「このトシになってあなたみたいな若い子とSEXするとは思わなかった」みたいなセリフがあったけれど……レイコさんって何歳だったんだろう? 小説に明記されていたかどうかは覚えてないけれど、当時ちょうど大学生だった私は、30代後半くらいの女性を想像して読んでいた。それが当時の男子大学生(私)のリアル感だったのだと思うけれど……2007年の現在では、大学生と30代女性の恋愛やSEXなんて別に珍しくもなんともないよなぁ…と思う。だって、しょっちゅう事件になってるじゃん…と。まぁ事件になっちゃうのはさすがにアレだけど、それだけ日常茶飯な設定になったという証左なワケで、女性の年齢についての世間(主に男性)の色メガネはだいぶ薄〜くなってきたんだろうな…と思う。


実際、私と同じ40歳overなのに若々しくて元気な女性って、独身既婚を問わずものすごく多いし。30代なら言わずもがなだ。

色メガネの色が薄くなったのは、我々男性が古い常識の殻を破ったから…なんてハズもなく、そんなふうにいつまでも若くて元気で生命力を保ち続ける女性が増えたからに決まってる。要するに女のヒトたち自身の手柄ってワケだ。


ところで
山崎ナオコーラ原作の映画『人のセックスを笑うな』は
新春より順次全国公開。http://hitoseku.com/
ラブ&セックスする主人公カップルは、
女性が39歳(永作博美)で男子が19歳(松山ケンイチ)……なるほど2008年的じゃないか。