人生設計は、計算ミスだらけ

Tuduki2007-10-15

この夏の晴れたある休日、テントを庭に広げて干した。


地方ならば珍しくもなんともないんだろうけれど、ここは首都圏。ギリギリめいっぱいとはいえ自宅の庭にテントを広げられるなんて、都内はもちろん横浜にだってそう多くはないんじゃないかと思う。……なんて具合に自画自賛して満足感。得意げな私…ふふん、ふんふん♪

こんな庭があるのはもちろん私がそこそこ金持ちだから…なんてことはあるはずもなく、以前も書いたけれど、庭のスペースをとるために家屋のサイズを世間の相場よりひとまわり小さくしたからだ……家を小さくしたおかげで建築費も節約できたし(笑)。


さて、こんなテントの写真なんか披露すると、まるで私が根っからのアウトドアズマンみたいだけれど……じつをいうとこのテント、たったの一度も実際に使ったことがない。ほかにも調理器具や照明などひととおり以上にキャンプの機材は揃っているのだけれど、実際に使ったことはない……まったくもって見かけ倒しの私である。しかもこのテント、未使用なのに既に我が家にとっては定員オーバーなのだ。


どうしてこんなことになってしまったかというと……すべては子どものせいだ。キャンプへの興味はなみなみあったのに、実際に行くとなればやっぱり小さい子が心配で。そのへんをハイハイしてケガしたり、変なものを口に入れたりしそうだから。それで「じゃあ子どもがある程度大きくなったら行こうな」と妻と話し続けてきたのだけれど……下の子がキャンプに行っても大丈夫そうな年齢に達するたびに、次の赤ちゃんが命を授かりやがる(笑)。……おんなじ理由で、大好きな東南アジア方面への旅行計画も、赤ちゃん的な衛生面がネックになって、もう10年以上もペンディング状態になったまんまの我が家なのである。


若い頃は、自分の人生がこんなふうに展開するなんて想像すらもできなかった。住宅ローンのために働くなんてまっぴらだと思ってたし、世界中のいろんなところを旅して自分の目で世界を見つめたいと思っていたのに……。学生時代には「カローラに乗ってイトーヨーカ堂で背広を買うオヤジにだけはなりたくないね」なんて生意気なこと言ってたけれど、今じゃマイカーはカローラじゃないけどやっぱりトヨタの大衆ミニバンだし(カローラはむしろ家族人数のせいで失格だ)、服なんてヨーカドーのスーツどころか年がら年中Tシャツじゃんかよオレ。なんだか若い頃に想像していたのとはまるで違う…というよりも、若い頃の自分にとっての「まっぴら」感に充ち満ち溢れた私42歳の人生NOWなのである。……人生設計を誤ったと言わざるを得まい。




え〜〜と……
ひと月以上も御無沙汰してしてしまいましたが、じつはその間に家族がひとり増えました。

そのため家事と育児の両立が大変で…じゃなかった、さらに加えて本業のサラリーマンの三すくみで、ここ1か月まったく日記どころじゃなかったのでした。
ということで、キャンプも東南アジア旅行も、またもや最低でも3〜4年待ち…という羽目に陥った次第。まあキャンプはともかく海外旅行はもはや金銭面で不可能な気分が山盛りだけど(笑)。


私はもともと4人の子だくさんのお父さんになるつもりなんかまったくなかったので、この現状というのはまったくもって想定外の事態なのである。私の人生にとっては、とんだ計算違いなのだ。6人家族になったんじゃ、もうひとつテントを買わないとキャンプもできないじゃないか! ……とか言ってる以前に、庭を広めにとるために家屋を小さくして悦に浸ってる場合かよオレは!…と激しく自己批判だ。せっかくの注文住宅なのに、5人家族しか想定してなかったモンだから、築1年&残ローン34年にして、すでに空間上は破綻をきたしてしまった我が家であった。……またしても人生設計のミス。こんなことになるんなら、庭よりも建物の広さが大事だろうが!…と悔やんだところであとの祭りである。祭りのあとってのはサビシイよねぇ……




そんなワケで計算まちがいだらけの私の人生ではあるけれど、
まァいいっかな…とも思うキモチも、私の正直な心境だ。
1回こっきりの人生だから失敗を避けようと慎重になるヒトのキモチも判らんでもないし、だから「理想の結婚生活とは違っていたので…」という言い訳で離婚しちゃった知念里奈(←じつは好きな顔)のキモチも理解したいと思う。

でも、考えてみりゃ“1回こっきりの人生”ってことは要するに、誰もが「人生の初心者」ってワケだ。どんなにトシを重ねようとも、厳密な意味での「人生のベテラン」はいないのだ。
(何度も生まれ変わっているというダライ・ラマ○世は除く:笑)


そう考えてみたら、「人生設計」ってなんかものすごくバカらしく思えてきた。誰もがみんな初心者…言ってみりゃ全員「人生一年生」なワケで……。そんな初心者ごときの想定範囲内の…足し算引き算で計算できるような、その程度の「人生設計」どおりの人生って……楽しいかぁ? そんなふうに考えてしまうのだ私は。
(まあそんな考え方だから計算まちがいだらけなのかもしれんが)



産院から退院したばかりの四男をちっちゃなベビー布団に乗せたら……さらにもっと小さかった。もう4回目の赤ん坊なのに、モノサシくらいしかない大きさに改めて驚いた私。


それからまた、この四男の写真を見て、

“流氷の天使”ことクリオネに似ているな…とも思った。


毎朝毎朝、夜明け前の冷え込む時間に、布団からはみ出て寝ている息子たちに布団をかけ直すために起きる……“自分の目で世界を見つめる”代わりに手に入れたモノは、結局これだったのかもな…と、毎朝毎朝そう思う。人生ってのは結局、計算まちがいしたところがいちばんオイシイんじゃないのかな…そんな気がする。


毎朝毎朝、まぁイッかこんな人生でもな…と思いながら、もうひと眠りする私なのだ。
おめでとう、オレ!(笑)