リスクの“算数”

Tuduki2007-03-15

月曜に長男が、水曜には三男が、続けざまにインフルエンザを発症した我が家。おかげで私は3日連続で朝イチで病院に通う羽目に……。


インフルエンザなので、当然タミフルの処方せんを渡された。タミフルによって幻覚を生じる“副作用”の疑いがなにかと話題になっているし、実際ウチでも既に実績<http://d.hatena.ne.jp/Tuduki/20060130>があるものだから、親としちゃ心配なのだけれど、それに対する医者の説明はこうだ。


「インフルエンザの合併症[インフルエンザ脳症]で死亡する患者は、毎年10人以上います。それに対してタミフルの幻覚のせいで亡くなられるのは、おそらく年に2〜3人。つまりリスクを比較すれば、タミフルを飲ませて早急に回復をすすめるほうが安全なんです」


……なんとも判りやすい説明じゃないか。感情的側面なんか排除してクールに数値で説明してくれて。私も納得して大事な息子たちにタミフルを飲ませてやることができた。無論“納得”はしたけれど、“安心”はしていない……でも、それがリスクとのつき合い方というものだ。「タミフルに効果があるのは確かなんですから、あとは異常行動に気をつけて様子を見ていればいいだけの話なんです」……まったくそのとおりだと私も思う。


我々はしばしば(というよりも年がら年中)、マスコミ報道に煽られたりウワサに惑わされたりするたびに、感情的になりすぎて冷静な判断ができなくなる。リスクの計算〜「計算」つったってこれは“数学”じゃなくて“算数”のレベルだ〜を、或いは“どちらがお得か?”という計算を、いつでも冷静にできる自分でいたいと願う。

たとえば米国産輸入牛肉の問題。狂牛病で死ぬのは怖ろしいから「アメリカ牛なんか食べるモンか!」という感情も理解できるけれど、そう言ってる当人が、確実に健康が蝕まれることが判明しているタバコを吸って、しかもチェーン・スモーカーだったりする例が多々あるのは意味がワカラナイ。狂牛病で死ぬのはヤだけど肺ガンで死ぬのは全然オッケー!…ってことなのかな?(笑) 
狂牛病の怖れがある牛肉を政府が容認しているせいで、望んでいないリスクを捲き散らかされている現状がイヤなんだ。タバコは自分で選んだリスクなんだから別問題だろ」という理屈もあるかも知れないけれど……その本人は、副流煙などによる「受動喫煙」といった嫌煙家が望んでいないリスクを撒き散らしているという現実にはお気づきか?(笑)

まあ私自身はアメリカ牛を徹底的に避けてるしタバコも吸わないけれど、「タチの悪い酔っぱらい」というリスクを撒き散らす可能性と常に隣り合わせなので(笑)、自分のことを棚にあげて他者を批判するのはやめることにしたい……それもまたリスクを回避するコツだ(笑)。


去年、家を新築したときに、泥棒や不審者に狙われるリスクを抑えようと、SECOMやALSOKなどの警備会社を検討した。数社に新居まで来てもらって、セキュリティ策の提案と見積もりを出してもらったのだけれど……熟考した末に結局はやめた。複数社で検討していることを告げたら、競争してどんどん割引してくれて、予想していたよりもずっと安くなったのだけれど。

それでもやめたのは何故かというと……そう、我が家には泥棒が持って行けるような“お宝”なんか存在しないことに気づいたからだ…ガッデム(笑)。宝石も腕時計も現金もなく…通帳はあるけれど残金はナシ。あるのは借金だけだ。いろいろ試算してみた結果、これから10年くらいの間ならば、毎月の警備料金や機材レンタル料を払い続けるよりも、むしろ泥棒に入られたほうがお得かも…ということがわかってクラクラした(笑)。なんとまぁサラリーマンならではの、自転車操業な家計簿であることよ…と。


え〜と…そんなワケで、リスクの計算は常に冷静な判断の下、行うべきなのです(まとめ)。