こんな「あるある」本も、ある

こんな本がねつ造発覚の前に出ていたとは……!



▲『また「あるある」にダマされた。』(著:鷺一雄/三才ブックス


どなたかのブログで知り、すぐさまネット注文しようとしたら「品切れ」とのこと。そりゃこの時期、注目されるよなぁ……。で、神保町の三省堂書店に行ってみたら、ちゃんと平積みされていた。でも“在庫僅少”っぽかった…すぐに売り切れるか?

奥付を見たら、発行日は2006年5月25日。…てことは、書店に並んだのは去年のGW前ごろなのかな? 去年の4月にはもう既に、『発掘!! あるある大事典』がいかにデタラメかということを示した本が出ていたワケだ。それなのに、注目されることなく書店の片隅にひっそり置かれていた…と。番組内のねつ造が発覚するまでは。ネット検索してみたけれど鷺一雄氏の著作はこの1冊みたいだし、私が購入したのは初版本だったし、今までこの本がどれだけ無視されていたかということが、よく判る。これでようやく日の目を見られるのかな…理路整然と「あるある」の間違いを正していて、読みやすくオモシロイです。


「あるある」のねつ造を指摘…といっても、一連の事件とこの本が示す趣旨は微妙に違う。ねつ造事件のほうは、やってもいない架空の実験データをねつ造したり、言ってもいない学者のコメントをねつ造したり…という番組をつくるうえでの「ウソ」が問題になっているワケだけれど、この本で著者の鷺一雄氏が訴えているのは、「番組が紹介する健康法やダイエット法の、そもそもの理屈からして最初からデタラメである」ということだ(実験や検証の方法がまったく科学的でないことも解説されている)。 ……にがりダイエットやコエンザイムなどなど、ウチの妻が真剣に信じていたネタまでも俎上に載せられているので、我が家だって「あるある」信者を他人事しとて嗤ってられないことがよく判ったよトホホ(笑)。


ねつ造事件が発覚したとき、たしかCXの村上社長が「ねつ造の検証番組を放送する」と言ってたけれど、本当に包み隠さずにこれまでのねつ造を明かす番組をつくったら、特番じゃなくて毎週放映できるんじゃないのか?…2クールくらいは楽勝で。しかもなんだか、ものすごく面白くなりそうな予感さえもあるぞ(笑)。しっかしまぁ……もともとの理屈がデタラメなんだから、その理屈を裏付けするコメントやデータは、そりゃねつ造する以外ないわな…と妙に納得だ。


今回この本を読んで、
自分自身もあらためて、正しい情報を選びとる力〜いわゆる「リテラシー」能力を高めなくちゃなぁ…と考えた。

そういえば、「リテラシー」という言葉が目につき始めたころ、博識で知られる職場の先輩が
「“リテラシー”って言葉は英語っぽく聞こえるけれど、本当は“re(もう1回)+照らしぃ(照らし合わせる)”をもじって生まれた2ちゃん用語なんだよね」と教えてくれた。


へぇ、なるほど!…と感心したものの、
この先輩が博学であると同時に無頼の冗談好きでも知られていることを思い出した。で、念のために自分で調べてみた。……調べてみたら、やっぱりウソだった(笑)。本当は「literacy:情報機器を利用し、膨大な情報の中から必要な情報を抜き出し、活用する能力(デジタル大辞泉より)」という意味。調べてヨカッタ…あやうくダマされるところだった。知ったかぶりして他人に披露しなくてすんだ…と胸をなで下ろした私であった。


おっと……つまりこういう姿勢こそが、まさに「リテラシー」?(笑)