ひとりひとりのMY LIFE

Tuduki2007-02-06

「女性は子を産む機械、装置」と言ったかと思えば、今度は「若い人たちは、結婚したい、子どもを2人以上持ちたいという極めて“健全”な状況にいる〜」ときたもんだ。案の定またまた抗議が再燃だ……ホントにどうなってんだ柳沢伯夫という厚生労働大臣のアタマん中は?


「子を産む機械」を謝罪して「子を産む役目の人」と言い換えたのにも呆れ笑いしたけれど……比喩表現の問題じゃなくて、その考え方自体が間違っていることに全然気づいてないんだなコイツ。いや“計算”の方法としては合っているかもしれないけれど“政治”の方法としては間違いだ。国民ひとりひとりが生身の“個人”であることに、まったく考えが及ばないとは……sigh。


結婚するのもしないのも、子どもを何人産むことも、ひとりひとり個人各々の人生でそれぞれが選択すればいいことじゃんか。「本当は結婚したいけど、できない」「本当は子どもを2人以上持ちたいけど、持てない」という国民に対して、その問題を解決しようとするのは政府の当然の務めだけれど、そう考えるのが“健全”だとか“正しい”だなんて勝手に決めてくれるなよ。だいたい「結婚したい、子どもを持ちたい…でもできない」と考える国民に対して、現状でもカツカツの労働賃金まで抑えつけようとしている政府の“一味”がよくもまあそんな偉そうなコトを(しかも独善的な決めつけで)言えたモンだよ、結婚したくても産みたくてもそんな“健全”な“夢”さえも叶えられないような世の中へと推進しちゃってるクセに。それに、たとえ「結婚できて子どもも安心して産める社会」を築いたとしても、そうではない別の選択肢を選んだ人生を、“不健全”だなんて決めつけるなよ。


ウチは子どもが3人も4人もいるイマドキの子だくさん一家だけどさ、だからってそれが“健全”だなんて現在の政府なんかに褒められるのは、まっぴら御免だ。少子化問題解決に貢献したり、どんぶり勘定の年金破綻を少しでも遅らせるために、子だくさんなワケじゃねぇぞ。子どもが可愛くて仕方ないから、グッズのコレクターや外車マニアとかとおんなじようなカネのかかる趣味だと思ってあきらめて、腹を括って育児してるのだ。私だってかつては、世界中のあらゆる場所を自分のこの目で見たい…という夢があったけれど、もはやあきらめた。……でも後悔なんかしない、それは私が自分で選んだ私の人生だから。


職場のとある50代女性は、定年退職する日を心待ちにしている。ずっと独身、もちろん子どももいない。でも既にローン完済したマンションは持っている。定年退職したらヨーロッパ中の世界遺産を全部見るつもりなんだそうだ(実際すでにイタリアの世界遺産はほぼ完了している)。また、私と同世代だけど独身の(或いは離婚して独り身に戻った)友人の多くは、私より何倍も悠々自適に、趣味に満ちた自由な生活を楽しんでいる……或いは楽しんでいるように見える。
もちろん、そんな生き方を羨ましく思うときだってある。しかも“たまに”じゃなくて“しょっちゅう”だ(笑)。

……でも私は自分で選んだ私の人生を後悔なんかしない。もちろん後悔しない理由は、それが“健全”だから…なんかじゃない。優雅でも悠々自適でもないけれど、私は私の人生を私の意志で選んだのだ。そして、それは彼らも同じこと。それぞれの人生をそれぞれが選んだのだ。そういう多様な価値観を尊重しあえることこそが、「美しい」ことなんじゃないのか?


いろんな人のいろんな人生があるから世の中はおもしろい。それを“健全”だとか“正しい”だなんて決めつける資格は政府にだってないのだ(……もしも我々が住む国が、民主主義の国家ならば…の話だけれど)。