喰い意地が汚いにもほどがある

Tuduki2007-02-03

本日の外出先でのランチは、子ども達の大好きなビュッフェ。


昔は「バイキング」と呼んでたものだが、最近は「ビュッフェ」という表記のほうが多いように思う。「バイキング料理」ってのは、北欧のスモーガスボードをヒントにして帝国ホテルが名付けた和製外国語だから、海外情報の乏しかった時代ならともかく、現代じゃさすがに違和感があるというか…自分で声に出して「バイキング」と言ってみるのは気恥ずかしい。「ビュッフェ」のほうがしっくりくる。どこかのホテルではさらに発音まで本格的に「バフェー」と書いてあったけれど、さすがに「バフェ」は国際感覚を先取りしすぎなんじゃないかと思う2007年2月現在だ。


好きなものを好きなだけ選んで、腹いっぱいの子ども達。食べきれなかった分が皿の上に残っている。「食べ残しの際には、一皿につき300円頂戴いたします」という貼り紙を見て、これって追加料金をとられちゃうのかなぁ…と気にする妻。

「んなワケないじゃん。とりすぎ注意を促すために書いてるだけだろ。……でも、もし万が一追徴金を請求してきたら“おいしくなくて仕方なく残しちゃったのに客のほうが悪いっていうつもりですか!”って抗議してやるよ(笑)。それでもしつこく言ってきたら、“子どもがうっかり床に落としちゃったのを拾った分です”と言い張ってやるから(笑)」と私。さんざんバクバク喰っときながら、ヤな客だよそれじゃ。

……そんなことを言いつつも、じつは私自身が食べ残しを許せない性分で。目の前にある「料理」が、我々が席を立った瞬間に「生ゴミ」に変身してしまうのがどうも忍びない。忍びないので、結局は全部たいらげた。たいらげたのだが……


デザートを食べていた妻が、私の顔を見て言った。「なんかさぁ……顔色が青白くなってきたけど大丈夫?」


「あ…やっぱり? なんか…無理に…口の中に押し込んだら……息が吸えなくなったみたいでさ…」と、小さな声を切れ切れにしぼり出す私。「す…少しずつなら呼吸…できるんだけど…胃に押されて肺が…ふ…膨らんでくれないイメージ…っていうか……あ、あれ?…なんか…目の前が(ボンヤリしてきた……)」
※注:(カッコ)内は実際にはもはや声にならず。


※注:ここからは食事中の方、清潔好きな方はご遠慮ください。
「ト…トイレ行ってきなよッ!」という妻のかけ声で、最後の力を振りしぼって、よろけながらトイレに飛び込んだ私であった。…………胃まで辿り着けずに、喉から食道のあいだで“渋滞”していたブツが、よく噛んで飲み込んだ状態のまんま、口から戻ってきました。胃まで辿り着いてないものだから、胃液の酸っぱい味も臭いもなしに、いやそれどころか料理としての味と匂いをともなったまんま、喉から吐き出されていったのでありました。
……そんなワケで、
元「料理」は、「生ゴミ」にならなかった代わりに「汚物」となってしまったのであった。


動けなくなるまで腹いっぱい喰ったことは何度もあるけれど、呼吸ができなくなるまで喰ったのはさすがに今回が初めて。モチが喉につかえたお爺さんの気持ちがちょっと理解できた。そういやパンの早食い競争で喉につかえて死んじゃった中学生もいたよなぁ……もしかしたらそれとおんなじ状態だったのかもしれない。


ともかく生きて戻ってこられてヨカッタ。あやうく「食べ放題で食べ過ぎて窒息死」なんて新聞に載るところだった……私の葬式で喪主の妻に「まさか300円の追加料金を私が惜しんだせいで、夫が命を落とすことになるなんて…」みたいな涙のスピーチをされずにすんで、本当に救われた(笑)。