必見の映画、『不都合な真実』

Tuduki2007-01-30

昨日のニュースより。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070129-00000028-san-int

■巨大宇宙鏡で太陽光反射!?

 宇宙空間に浮かべた鏡で太陽光線を反射するという温暖化対策の研究を今春に出される国連の報告書に盛り込むよう、米政府が提案する。英紙ガーディアンが伝えたもので、試算では太陽光線の1%も反射すれば産業革命以来出してきた温室効果ガスの効果を相殺するという。排出削減を柱にした京都議定書とは反対の、いかにも米国らしいプラス思考?

 軌道上に打ち上げた巨大な鏡で反射するほか、光を反射するホコリを大気中に放出するといった方法もあるという。

 国連は今年、人為的な気候変動リスクに関する知見をまとめた3つのセクションからなる報告書を出す。各国政府関係者や科学者らが参加する「気候変動に関する政府間パネル」が作業に当たり、草稿が各国政府に回覧される。米国は今年4月に予定されている第2セクションの報告書で、最も目立つ要約にこれらの研究開発について盛り込むよう働きかけるという。

 米国は2001年に京都議定書の枠組みから離脱し、強制的な温室効果ガスの削減には反対の立場をとってきた。その一方で石油代替エネルギーとしてバイオ・エタノールを推進するなど、新たなビジネスに結びつく対策には熱心だ。

 SF映画ばりの“宇宙の鏡作戦”も、宇宙産業には大きなチャンスといえる。もっとも、報告書の草稿はこうしたアイデアについて、費用も他への影響もわからない理論的なものと指摘しているという。
(坂本英彰)(産経新聞配信)


荒唐無稽すぎてニュースになる以前の単なる“ネタ”じゃんかよ!…と普段ならツッコミ入れるところだけど、ドキュメンタリー映画不都合な真実http://www.futsugou.jp/を観たばかりだと、とても笑い飛ばせない。地球温暖化がそれほど深刻な問題で、しかも近未来なんかではなく“いま現在この瞬間の問題”だと思い知らされるからだ。


この「鏡で太陽光線を反射して温暖化にブレーキ」という考え方自体SFチックに思えるが、じつはとっくの前から地球規模で“鏡で反射”作戦が行われてきた…という事実を、映画を観て知ることができる。地球には大昔から“巨大な鏡”があったのだ。それはいったいなにか?…そう、北極圏や南極圏の氷が、太陽光線を反射する“鏡”の役目を果たしてきたのだ。ところが、そんな両極地の氷や氷河や高山の万年雪が、地球規模の平均気温上昇のせいで、現在どんどん小さくなっている。地球は“鏡”を失いつつあるのだ。

「南極の氷が全部溶けたら海面が○m上昇して海辺の都市は沈んで…」云々という記事は、こども時代から小学館の【小学○年生】や学研の【科学と学習】でおなじみだったけれど、そんな足し算引き算の考え方じゃ済まない〜そんな単純な被害で終わらない…ということが、映画『不都合な真実』の中でわかりやすい怖ろしさを以て解説されている。太陽光線を反射する“鏡”を失った地球は、気温の上昇も加速度的に跳ね上がる……そして、そんな地獄絵図の未来へと、我々は既に何歩も歩みをすすめて来てしまったのだ……。


という地球温暖化の怖ろしさと現実は、ゼヒ映画を御覧になっていただくとして。

この『不都合な真実』、アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞にノミネートされている。雑誌の記事などでしばしば「“主演”アル・ゴア〜」と書かれていたのだけれど、映画を観たらこの表現が比喩でもなんでもなく、“……”もいらないくらいだった。アル・ゴアとは勿論、2000年の米国大統領選でフロリダ州の“疑惑の開票作業”でブッシュに敗れた、あの政治家のこと。彼がこんなに環境問題に取り組んでいたなんてちっとも知らなかったぞ…と驚くのは、きっと私だけじゃないはずだ。映画の中で地球温暖化の解説をするのがアル・ゴアというだけでなく、彼は徹頭徹尾、出ずっぱりの喋りっぱなし。要するにこの映画は、地球温暖化問題を訴えるドキュメンタリーである以上に、政治家アル・ゴアの生きざまを描くドキュメンタリーなのだ。


ということを念頭に置けば、
この映画が中間選挙の年に全米公開されたというのも、やっぱり意味・理由・目的その他があるんだろうなぁ……。「もしも」の話をしても仕方ないけど、2000年のあのとき、大統領になったのがゴアだったならば…と思わずにいられない。


…と思うこともまた、“政治家”ゴアの思惑どおりではあるんだろうけどさ(笑)。でも“政治家”で終わってない彼の生きざまが、心を震わすのも確かなのだ。