笑ってばかりじゃいられない

Tuduki2007-01-22

1/21の「あるある」放送中止、サシカエは「ナイナイ」特番を再放送?
……という展開を期待していたけれど、さすがのCXもおふざけできない事態のようで。

【発掘! あるある大事典Ⅱ】が1/7に紹介した「納豆ダイエット」が、まったくのねつ造だったことが判明して世間は大騒ぎだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070122-00000011-mai-soci

◆<番組ねつ造>納豆発注ストップ…業者悲鳴◆
テレビ番組「発掘!あるある大事典2」が放送した「納豆ダイエット」の内容ねつ造を、制作した関西テレビ大阪市北区)が認めて一夜明けた21日、大生産地の茨城県の納豆製造業者には早速発注取り消しの電話が入り、業者が頭を抱えている。増産態勢をとっていた業者は「このままでは廃棄処分が出るかもしれない」と話す。
 同県日立市の小規模業者は「7日の番組放映後、スーパーの注文が通常の1.5倍以上に増えたが、今日から注文がぱたっと止まった」と話す。発酵で作る納豆は出荷2〜3日前に、発注量を予測して製造を始める。業者は「22〜23日出荷分は既に作ったが、賞味期限は1週間。注文が来なければ廃棄するしかない。数十万円の損失になる」とため息をつく。
 同県土浦市の小規模業者も、スーパーから注文を取りやめる電話がかかってきた。「納豆の容器や出荷用段ボールも大量に発注してしまった。倉庫に入らないかもしれない。テレビ局はスーパー、業者、消費者ら大勢の人に迷惑をかけた。影響力が大きいことを認識してほしい」と憤る。
 水戸市のスーパーの男性従業員(36)は「番組で売り上げが倍になったが、今日の売れ行きは以前に戻り、かなりの納豆が売れ残った。大量仕入れで在庫もあり、消費期限内にさばききれるか心配。発注はしばらく見合わせる」と話した。【三木幸治、原田啓之】 (1/22毎日新聞配信)


放送翌日の8日にいつものスーパーに行ったら、まだ昼だというのに納豆コーナーが空っぽで驚いたモンだが……なんだか気の毒だなぁ納豆業者。社運を賭けて、業務の拡大を目指して資金投入をしたところがあったとしたら、目も当てられない。以前、ナタデココの爆発的ブームで工場拡大までしたのにあっという間にブームが終わってしまい途方に暮れるフィリピンの生産者…という番組を見たことを思いだした。……もっとも今思えば、そんなフィリピンの業者のニュースさえもねつ造かもしれないけどね(笑)。


ウソに振り回された納豆業者にとっては不愉快極まりない“事件”だけれど、番組を信じてこの2週間ずっと納豆を食べ続けた視聴者については……申し訳ないけど、やっぱりなんだか笑ってしまう。自分が納豆を食べないせいもあるだろうけど、痩せるために山ほど納豆を食べ続ける人々の姿は想像するとなんだか滑稽だし、「ちょっと冷静に考えたら、納豆なんかで痩せるハズないって気づくようなモンだよなぁ…」という思いもあるものだから、ダマされた視聴者が怒ってる今朝のニュース映像を見ても、なんか…非常に申し訳ないが…ついふふんと笑ってニヤニヤしてしまう。昨夕のスーパーでは、3パックセットの納豆を6〜7セットまとめ買いする老婦人がいたけれど、「ねつ造発覚報道をまだ知らないのかなこのヒトは…?」という戸惑いと含み笑いの視線が周囲に充ち満ちていた。……まぁ「筋金いりの納豆好き」「3世代でしかも子沢山の大家族」「居酒屋のおかみ」なんて可能性もあるだろうから、余計なおせっかいは焼かないほうがよかろう。


このテのオカルト健康法(と言ったら信じるヒトたちに申し訳ないが)といえば、やはりマキノ出版の雑誌【壮快】が頂点を究めているんじゃないかな…と思う。ちなみに今月号には、「演歌を大声で歌うと…高血圧、高血糖値、耳鳴り、ぜんそく、不眠、うつまで治る!」という記事が載っている。また以前には「モーツァルトを聴いたら抜け毛が止まった!」という記事もあった……それじゃ音楽家にはハゲがいないことになるじゃん(笑)。
でも【壮快】については、じつは私も記事の「キムチ豆腐ダイエット」を実行して2か月ほどでホントに10kg近く痩せた“実績”があるので(笑)、小バカにしてばかりもいられない……「信じる者は救われる」「鰯の頭も信心から」という側面は否定したくても否定しきれない(笑)。それにまぁ、’05年12月号には「笑いは名病院」なんて特集もあったくらいだし、この雑誌のコンセプト自体が「半信半疑のお笑い企画」なのだと割りきれば、そのエンタテインメントっぷりを純粋に楽しめるってモンだ。きっと【あるある大事典】だって同じコンセプトなんでしょ? だって関西テレビの社長の記者会見の表情って“たかがバラエティ番組をこれだけ本気で信じる視聴者がいるなんて、私のほうが驚きです”という感じだったじゃないか。【あるある〜】なんて、川口浩探検隊矢追純一のUFOレポートなんかと同列なんだよきっと…作り手側にしてみれば(笑)。


……などと笑い飛ばして〆めるつもりだったのだけれど。
ねつ造を暴いた【週刊朝日】の今週号の記事を読んだら、気になる記述があったので引用することにする。私としては、ダマされて納豆を食べ過ぎたヒトが大勢いても、まあ健康食品だしイイじゃん(笑)…くらいのつもりでいたのだけれど、当該番組に登場していた「千葉大学大学院薬学研究院:五十嵐一衛教授」のこんなコメントが載っていたのだ。


「ポリアミンが減ると、がん細胞が減るというデータがあります。ということは、ポリアミンが増えるとがん細胞が増える可能性もあるわけです。納豆にがん細胞を活発にするほどのポリアミン含量があるとまでは言えませんが、その危険性は伝えるべきです」週刊朝日:2月2日号より引用)


ポリアミンというのは、【あるある〜】のなかで「ダイエットをもたらすための基礎代謝を高める」とされた“若返り”ホルモン。このポリアミンを増やすために納豆を食べましょうというのが番組の理屈だったようだが……がん細胞を増やすかもしれない成分を手放しで絶賛するのって、マズイんじゃないのか? 


五十嵐教授の話では、TV局の取材の際にもこの危険性は明言していたそうなのだが……番組ではひとことも触れられてない。