日本橋でプラネタリウムを見る

Tuduki2006-12-18

世界最高のプラネタリウム日本橋に登場! …ということでさっそく行ってきた。


「世界一先進的なプラネタリウム」としてギネスブックにも載っている、天才“プラネタリムクリエイター”(←という肩書みたいです)大平貴之氏が制作した「メガスターⅡ」。ギネスに認められたのは台場の日本科学未来館にある3号機「コスモス」だけれど、その姉妹機(ウィキペディアから推測すれば2号機or4号機)が、先週15日より東京・日本橋の特設会場で稼働を始めた。上映される演目は『HOKUSAI〜北斎の宇宙』……「世界最高峰のプラネタリウムが映す、満天の星と北斎の世界。」(パンフレットより)だそうで、特設会場での上映用にわざわざつくられた作品だ! 声の出演は緒方拳・佐藤隆太サトエリ、そして総合演出は宮本亜門! なんだかとってもゴージャスだぞ。そのゴージャス感がむしろ却って「なんかヤバイんじゃないか?」というニオイを醸し出していたように思えた私である。

日本橋だから北斎? いやそれなら広重か? じゃあ東銀座で開催してたら写楽だったりして?」といういかにも安易そうな発想だとか、大手企業の冠(今回は東芝)企画だとか、協賛が【ぴあ】(笑)というあたりが、バブル後期の汐留跡地で開催された期間限定イベントの数々をホーフツさせる……あの頃、いったい何回ガッカリさせられたことか(笑)。


さて感想だけれど、
単刀直入にいえば「ハード最高、ソフト最悪」であった…イヤな予感はど真ん中に的中!(笑) 

「将来の見えない刹那的な若者が葛飾北斎に出会って改心する」という粗筋と主題が、古臭いうえに意味が判らない。おまけにシルエットで若者や北斎や町人を演じた役者(緒方拳たちとは別人)がオーバーアクト、それに声をあてた佐藤隆太がこれまた主張が強すぎて、動きと声でうるささが飽和状態。また、いくら世界一のプラネタリウム機だとて、浮世絵の投影は門外漢のようで、全体に暗いし正しい色も出てないし、浮世絵の白色の部分はスクリーンの布地の目がギラギラしてるし、拡大面はジャギってる(ギザギザしている)し……つまりそういうワケで、単刀直入にいえば「最低最悪」だったのだ。あれじゃせっかくのメガスターⅡが泣くよ……。


本来の正しい使われ方である星空の映像は、そりゃもう素晴らしいものだったけれど……そんな最高の映像を数分間見るために20分以上もくだらないドラマ映画に付き合わされるのはウンザリだ。ただ、来年1月からは美しい音楽とともに世界一のプラネタリウム映像を堪能できる“ヒーリング・プログラム(笑)”が始まるそうだから、「美しい星空を楽しもう…できれば異性と一緒に」なんて考えてる方には、そっちのほうをオススメしたい……いや私もそっちは見てないけれど、『HOKUSAI〜』は絶対にオススメしないので。


……もっとも、帰り際になぜか入場券の半券と引き替えに新しい招待入場券をくれる(=つまり券を1枚買うと、なぜか2回観られる)ので、まずはリハーサルのつもりで『HOKUSAI〜』を見て、その出来の悪さを笑い飛ばしてから“本番”に挑む…ってのもアリかも(笑)。


まあこんなふうに細部まで詰めていない企画でもゴーサインが出てるんだから、大企業を中心とみた社会にならば好景気な気運はたしかに戻ってきてるんだろうな…とも思う。急激に様変わりする日本橋の風景とともに、あの懐かしいバブルの時代のニオイをプンプン味わえた(笑)。