世界じゅう電飾だらけ

Tuduki2006-12-15

街じゅうどころか住宅地じゅうにまでクリスマスのイルミネーションが輝いている。
伴天連でもないくせにまったく…なんて思いつつも、人々の浮かれた優しいキモチはいいもんだな…とも思う。


今朝の某TV番組に、家じゅうをイルミネーションでキラキラ(というよりもギンギラ?:笑)に飾っている一家が出ていた。あれだけギンギラギンではさぞや電気代もかかるだろうに…と他人様の家計を心配していたら、ふだんより1万円UP程度だときいて驚いた。10年くらい前に妻の実家近くのギンギラリン一家が取材されたときは、12月の電気代は前月よりも8万円増と言ってたものだから。「なんだよ、さては近所のギンギラリンめ……見栄はって大袈裟な数字を騙ったか?」なんて一瞬は疑ったのだけれど……すぐ気がついた。ああ、そうかLEDか! LED(発光ダイオード)の発明&普及のおかげで、あの手の飾りも相当に省エネできてきたにちがいない。……意外なところで、科学の進歩に畏れ入った今朝の私である。

LEDといえば、社員研究者の発明への対価をめぐる訴訟で話題になった例の青色発光ダイオードが普及して以来、TOKYOのイルミネーションに青色の電飾が爆発的に増えたように思う。最初は珍しかったし美しいと思っていたけれど……ここまで増えると、なんかヤだなぁ私は。冬空の下で青色まみれの電飾を眺めていると、余計に寒さが増す気がするもので。『マッチ売りの少女』の炎のように、心が温かくなる色がいいよなぁ私ならば。



ところでイルミネーションといえば、
‘95年に12月のバンコクを訪れたときのイルミネーションの見事さは今でも忘れられない。ビルの一面全体が電飾で飾られて、これこそが「光の洪水!」といったオモムキだった。街全体もみんなが笑顔でとても楽しげな様子…クリスマスを前に世界中が浮かれているんだなぁと感慨深かった。とはいえ、「でも、そういやタイって熱心な仏教国だったハズだよなぁ……そんな国の民までもが、異教徒の祭りを祝ってしまうのか」と少々サビシイ気持ちにもなったりした。

その後、我々は本場のムエタイを観戦することに。競技場に入るとリング上の選手たちよりも観客のほうが熱気ムンムンで、これまた貴重な体験だったのだけれど…まぁそれはともかく。何試合目かの途中のラウンドで、突然試合が中断された。あれれ?…と思っているうちに観客全員に火の点いたキャンドルが配られた。なんと、ムエタイ会場でクリスマスパーティーかよ??…などと驚いているうちに、会場全体のタイ人たちが、いかにも聖夜にふさわしい厳かな聖歌を全員で合唱しはじめたのである! そして会場の外からは、心から聖夜を祝うかのような打ち上げ花火の音が轟いて……。ベトナム戦争のときにアメリカ人兵士がつかのまの休暇で心身を癒したのが国際的繁華街バンコク繁栄のきっかけだそうだけれど、米兵クリスチャンたちは仏教国タイに、そこまでクリスマスを浸透させたということなのか……!


……とまでは、さすがに思うハズもなく(笑)、
合唱が始まったところで、いくらなんでもこれは妙だぞ…と思い、あとでそばのタイ人に訊いたら、なんとそれは国王の誕生日を祝っていたのでした。キャンドルも聖歌(?)も花火も…もちろん電飾イルミネーションも、クリスマスなんかにゃまったく関係なく、すべてはタイ国王ラーマ9世の誕生日を慶賀するためのものだったのである。あのとき気がついてヨカッタ……へたすりゃ今でも「バンコクのクリスマスはすごいんだぜ!」なんて得意げに言ってたかもしれないから(笑)。


シアトルの空港に飾られたクリスマスツリーに対してユダヤ教徒が抗議した…なんて記事が先日の新聞にあったけれど、意味や由来も知らないままに、表面的な形だけマネるのは、危険だし恐いことかもしれないなぁ…と思う。
……でも、それでも、人々の浮かれた優しいキモチはいいもんだな…ともやっぱり思う。