「宇宙海賊」と「宇宙ショーグン」

Tuduki2006-11-29

先日の呑み会で
TSUTAYAで『STAR WARS』の劇場公開版DVDが、“2枚で2500円キャンペーン”の対象商品になってたぞ! おそるべき激安! 買うなら今だ!」
……と熱い口調で教えてくれたのは映画系ライターの友人・山下某氏。


だが、対する我々の反応は冷たかった。
山下氏と同世代で、思春期に『スター・ウォーズ』にガツンとやられた同志たる我々ではあるが、VHSの時代から含めておんなじ映画ばっかりいったい何回買わされりゃいいんだよ…という、重い思いに陥ったからである。私にしたって旧シリーズのSWソフトは、レンタルビデオ屋の中古品に始まって、さらに3800円になった廉価版のVHSまたさらに“THXで音が良くなった版”のVHSまたまたさらに特別篇のVHS(3巻セット)そしてさらにDVD(3巻セット)と、おんなじ作品ばっかり5回も買わされているのだ。LDにまで手を染めた連中なら、よりさらに増えているワケである。それからどうせさらにまた数年後には、全6作を通しで並べた「最終版」が出るに違いない。いくらなんでも、もうこれ以上ジョージ・ルーカスの商売につきあう必要ないんじゃないか?…と、不惑を超えてようやく冷静になった私は、「もうこれ以上カレに振りまわされたくないの…」なんて、むくわれない恋に疲れた乙女みたいなこと言ってすっかり消極的だったのであった。


……のであったが、結局やっぱり数日後には買ってしまった私である(笑)。
「劇場公開版はVHSでしか持ってなかったもんな」「しかもVHSのはTVサイズに画面がトリミングされていてイマドキの規格に合わないしな」「『ジェダイの復讐』のラストのベイダー卿ヘイデン・クリステンセンじゃなくて江戸家猫八(…似の俳優)じゃん。エンディングの曲もウッホウッホ(…という印象の土俗的な音楽)だし」などと、要するに新しいDVDを買うに足るいくつもの理由があるじゃないか…と自分に言い訳をして購入してしまった次第だ。


でもじつのところ、買って大満足でした。
手にするまでまったく知らなかったのだけど、わざわざ“劇場公開版”と謳うだけあって、字幕と吹替も、劇場公開時バージョンが入っていたのだから。おかげで、とても懐かしいキモチに浸らせてもらえた。フォースを「理力」と表記した字幕を見たかったんだよなぁ……。


「理力」の表記以外にも、あの当時を思い出させる“気配”がいっぱいだ。たとえばハン・ソロは、なぜか日本では「宇宙海賊」という設定だったもんだから、ミレニアム・ファルコン号を指して「自慢どおりの“海賊船”だといいのだが…」なんて吹替のセリフがあったりする。またベイダー卿も、兜のようなかぶり物で刀を振りまわす「宇宙戦国武将」みたいなルックスのせいで、「仰せのごとく」なんて時代劇っぽい口調が散見。いま見るとなつかしオモシロイ。……ただベイダー卿の口調に関しては、もっと時代劇っぽい気がしていたのだけれどなぁ? 「仰せのごとく」じゃなくて「御意」じゃなかったっけ?…みたいな。ほかにも「承知つかまつりました」とか「皇帝はそう思わんでござろう」とか「刀は武士のたましいでござるよ」くらいは言ってたような気がしてたのだけれど……記憶なんていいかげんなモンだ。


というワケで、
非常に楽しめた次第である。またこのDVD購入のおかげで古いVHS版はすべて捨てる決心がついたし。それからさらに楽しめたのは、吹替版のセリフ回し。「お前さんは〜」とか「〜って寸法よ!」みたいな、いかにも昭和テイストな言い回しが充ち満ちていて、別の意味でも非常になつかしい。なにしろ昭和の口調があまりになつかしくなって、思わず『男はつらいよ』をレンタルしてしまったほどである(…と話が脱線したところで脱稿)。