映画みたいな夏休み、絵画あふれる夏休み

Tuduki2006-08-08

やあ、みんな。おいら小学35年生。
今年の夏もランニングシャツに短パン一丁。今日も子分たちを引き連れて、自転車こいだり虫捕り網を振り回したりして過ごしているのさ。


……という具合で、ようやく本格的な夏らしくなった昨今、週末のたびに息子たちとじっくり過ごそうと努める私なのだ。先日のニュースでも「日本の父親が平日に子どもと過ごす時間は世界最低レベル」と言ってたことだし。その世界最低レベルの「平日に子どもと過ごす時間」の平均が3.1時間もあったのは、その時間の長さにむしろ唖然とした私だったのだけれど……そんなこともあり、週末くらいは子ども達の“親分”気どりでじっくり遊んでやるぞ!…と固く胸に誓っていたのだ。


というワケで、先週末のジョン右衛門一家は子分どもを引き連れて東京サマーランドを訪れたのであった。予想も覚悟もしていたけれど……いやあ、ものすごい人出でしたよ。
到着するまでももちろん渋滞だったが、さらにサマーランドの姿が見えてからその駐車場に到着するまで30分も延々とクルマの列がのろのろと続く様子は『宇宙戦争』('05)や『ディープ・インパクト』('98)の1シーンのようだった。遠く離れた駐車場からサマーランドまでギュウギュウ詰めのバスで護送されるのは『ライフ・イズ・ビューティフル』('98)的だし、ようやく入場してもシートを広げる場所がプールの周辺には既になく、結局プールからはなれた遊園地の乗りものの柵に貼りつくようにスペースを確保したのだけれど、それはまるで『ホテル・ルワンダ』('04)のようだった。流れるプールに入っても手足を伸ばして泳げるスペースはなく、浮き輪やビーチボールを抱えながら水の中をダラダラと歩くさまは『デイ・アフター・トゥモロー』('04)での、大寒波から逃れるために川を渡ってメキシコに逃げようとするアメリカ人の大集団の再現。ウォーター・スライダーの順番待ちをする人々の疲れきった無言の表情の行列は、『ビザと美徳』('97 アカデミー短編賞受賞)でビザ発給を待つ人々を思い起こさせた。

そんな具合で、私には「難民」という言葉しか連想できない週末の東京サマーランドだったのだけれど、息子たちはとても楽しそうだったので、まあヨシとしよう。父と子どもがふれあう時間は捻出できたワケだし。


じつをいうと大混雑ぶり以上に、ものすごく驚いたことがあった。それは、カラダのあちこちに綺麗な絵が描かれている人々の多さだ。それも洋風のTATOO(タトゥー)ではなく日本風の刺青(いれずみ)、すなわち「もんもん」ばっかりである。来客の総数がどのくらいだったのか知らないが、刺青をした連中は100人以上いたと思われる……こういっちゃあなんだけど、それぞれ絵柄もちがえば彫り物をした範囲もちがうモンだから、個々の見分けがしやすいのだ(笑)。もちろん中には、若い兄チャンなんかニセモノのシールだったりしたのかもしれないが、いずれにせよ東京サマーランドに遊びに行く客層には、刺青を佳しとする気風が他のプールの客層よりもずっと強いことは間違いなかろう。

……というよりも、ふつう都心部にあるプール施設って、今やどこもかしこも「いれずみのお客様はお断り」としているんじゃないのか? ほかのお客さんが怖がるから…とかなんとか風紀上の観点で。東京サマーランドみたいに「いれずみのお客様ウェルカム」…とまではさすがに公言しちゃいないだろうけど、彼らを別に排除してないプール施設って、すごく珍しいのでは? もしかしたら、刺青モンたちのコミュニティやらネットワークやらで、「サマーランドは入場オッケーらしいぞ」なんてクチコミだとかブログだとかで熱心に情報交換されてんじゃないのかな?……そんな気さえした。

若い連中もいたけれど、ほとんどの刺青モンは私と同世代ぐらいだったようにみえた。刺青をしているからといって、肩をいからせたり睨んだり大声を出したりして周囲を威嚇するワケでもなく、背中や腕や太股に綺麗な絵が描かれていること以外は、まったく「普通のお父さん」だった。長い行列に割り込むワケでもなく、子どもと手を繋いで順番待ちしている姿は、私たちと同じ「週末のお父さん」そのまんまだった。

もちろん「刺青」=「ヤクザ」というワケではない。テキ屋とか職人系といった“比較的カタギ”方面にもカラダに絵を描いてる人たちが多いことは、私の親父の仕事仲間や呑み仲間のほとんどがやはりカラフルな絵柄入りの背中だったから、よく知っている。そんな絵柄入りのお父さんたちが、子ども達と一緒にプール遊びができるのは、東京近郊じゃぁサマーランドくらいのモンなのかな?…なんて思ったりした。


「日本の父親が平日に子どもと過ごす時間は世界最低レベル」……どこのお父さんでも、どんなお父さんでも、子どもとのふれあいに苦慮してるってワケだ。