よく火を通せ

Tuduki2006-06-27

米国産の牛肉がまた輸入再開される。


テキサス州のAさん:
「私たちアメリカ人がごくふつうに食べている牛肉を輸入再開すると、日本政府が決断してくれて本当によかったです。まあ当然の結果だし、再開を決定するまで遅すぎた感はありますがね。なにしろ私たちはごくふつうに食べている牛肉なんですから。日本の消費者の多くは、いまだに不安と不信感を抱いているということですが、おいしくて安いアメリカの牛肉を食べれば、すぐに不安なんか吹き飛んでしまいますよ。ジャパンには“OKAMI ni wa Sakaraenai”というナイスなことわざもありますしね。……それでもアメリカの牛肉を食べるのが怖いという日本人に、アメリカ人からひとつアドバイスを贈りましょう。それは『牛肉は火を通してから食べましょう』ということ。日本人はなんでもSashimi(生)で食べる習慣があるそうだけれど、牛肉は焼いてステーキにしたり煮込んでシチューにして食べたほうが旨いし、衛生的ですよ。よく火を通せば狂牛病なんかちっとも怖くないんですから。牛肉をナマで食べたら、いくらアメリカ人だってお腹こわしちゃいますよ。狂牛病を怖れていながらナマで食べたがるんだから、ホント日本人はクレイジーね!(笑)」


アイダホ州のBさん:
「私たちアメリカ人がごくふつうに食べている牛肉を、毒まみれの殺人食品よばわりするジャップのことを私は許せない。私たちがごくふつうに毎日食べている牛肉には、毒なんか1オンスたりとも入っておらず安全なことこのうえないのだから輸入再開は当然のことだ。そもそもジャップは、Fuguとかいう猛毒を持ってそのうえ風船みたいにプーッとふくらむような気味の悪いフィッシュを100ドルも払って喜んで食べてるくせに。病気くらいでガタガタ言うなんてアンビリーバブル!(怒)」


ユタ州のCさん:
「私は大学で日本について学びました。“BUSHI-DO towa Shinu Koko to Mitsuke tari”という言葉を愛する日本人は、もともと死を愛する人々なのです。戦国時代のHARAKIRIや太平洋戦争のKAMIKAZEも、死を愛する文化ならではの独特の習慣だとカレッジで習いました。Fuguを好むのも恐らく同じ理由なのでは? 現代社会においてKARO-Shiする日本人が大勢いるのだって、死への欲求に恋い焦がれた結果、心臓が止まるまで働き続けるからにちがいありません。そうカレッジで習いました。けれど…ですから私は心配してませんよ。日本人はHonneアンドTatemaeを使い分ける国民ですから。『狂牛病の肉はイヤだ』はTatemaeで、Honneは『狂牛病の肉を早く食べたい』のです。その証拠に、私たちの狂牛肉を見かけばかりのウソ検査で輸入させようとするMr.コイズミの支持率は、現在でもなかなかのものじゃないですか。年間3万人もSeppukuする日本人がいるのも死を愛する日本人の証ならば、そうした自殺社会を築きあげたMr.コイズミを熱心に支持するのも日本人の証。あれこそが日本人のHonneなのです!…そうカレッジで習いました」




……なんてのはもちろん私の(まだ狂ってはいない)脳内妄想だけれど、“彼ら”が本気でそう考えてたら笑うよね。

おっと、笑いごとじゃなかったのだ。先日スーパーでカレーとシチューのルーを買おうとしたときのこと。例の狂牛病騒動のときにはどのメーカーの品にも「輸入牛肉を原料に使っていません」とデカイ文字でこれ見よがしで書いてあったのに、いつのまにかなんの前触れもなく、その文言がなくなっていたことに気がついた。つまり要するに、今ではもう輸入牛肉の内臓やら油脂やらを、ダシやコクを出すために当たり前に使っているということだ。大手のよく見るメーカーの中で、今でも「輸入牛肉を原料に使っていません」と謳っていたのはヱスビーだけだった。

Mr.コイズミのヤツは「国産牛を選ぶのもアメリカ牛を選ぶのも消費者の自由ですから」と、こんな大事な問題にまで“自己責任”ってことで責任をなすりつける発言をしたので唖然としたが、じゃあこうやって原料にコッソリ使ってる場合はどうやって狂牛肉から回避すりゃいいんだ我々は?


まああんなバカの言うことを、いまさらマトモに受けとめても仕方ないけれど。とりあえずもう二度とバーモント・カレーは買わないで、ゴールデン・カレーにすることに決めた私である。


※写真はアメリカンビーフを上手にコンガリ焼いた『マーズ・アタック』の火星人

狂牛病関連の問題点については書き出すと怒りまみれで長くなりそうなので、ここは抑えときます。ここに書いたのは、あくまでも私の見識…のほんのほんの一部。巷にあふれているいろんな意見のあくまでひとつです。また、いろんな見識のひとつとしては「きっこの日記」などをゼヒご覧ください。狂牛病肉を推進する会社のリストも紹介してるしね。
※以前には私、こんなことを書きました。<http://d.hatena.ne.jp/Tuduki/20051031