思い出のビーチへ

Tuduki2006-05-31

今週末は家族で沖縄旅行なのだ。


マイルのポイントがそこそこ貯まったのだが、以前ひとりで沖縄に行ったら妻からさんざん文句を言われたもので、妻と子のゴキゲンをとるべく今回は一緒に出かけることにしたのだ。「なにもわざわざ梅雨の真っ最中に行かなくてもいいのに」という御意見もあろうが…なぁに。オキナワは亜熱帯だから、たとえ梅雨どきといえどもスコールが激しく降ればあとはカラッとした青空が見えるものなのだ。


……と思いこんで余裕かましていたのだが、どうやらそういう事実はないみたいです。グアムやハワイの雨季の天候と混同してカン違いしてしまったようだ…くそっ。



訪れる地は、環境省が先日発表した「快水浴場100選」<http://mizu.nies.go.jp/suiyoku2006/>のなかでも、特にキレイな海=特選に認定されたビーチ。天気予報がはずれてくれれば透き通った海に素潜りできるのだけれど……まあ成り行きにまかせるか。


このビーチとホテル、私にとっては今から12年前に初めて訪沖した場所でもあり、いろいろ感慨深い。
当時在籍していた某雑誌で「日本各地のリゾートで女のコの水着姿をたくさん撮ってきました!」というグラビア企画をやったのだが、そのとき沖縄取材班のひとりとして丸々3日間、水着の女のコたちに「写真撮ってもいいですか?」と声をかけ続けた場所こそが、今回家族旅行で訪ねるビーチなのである。……妻には笑い話にできても、子ども達にはとても教えられない思い出だ(笑)。

毎日ビーチの端から端まで目を光らせて、これは…と思う女のコを見つけては「スイマセ〜ン、写真撮ってもいいですかァ?」と声をかけ、編集の私&先輩+ライター+カメラマンであれこれノリよくおだてては写真を撮らせてもらう繰り返し。体力的にはキツイけれど私もまだ若かったし、仕事を口実に女性に話しかけるのは、それはそれで楽しかった。
そんなビーチで、ひときわ目立つギャル(死語?)がいた。スレンダーなボディ…まっすぐに伸びた長い脚…くっきりした目鼻立ち……。ひと目で高級だとわかるデザイン性の強い真っ白な水着を身にまとい、さっそうとビーチを闊歩する彼女。明らかに周囲とは違う強烈なオーラを放っている。そのとなりには小ざっぱりした感じの背の低い男…コイツもなんだかギョーカイ人っぽい雰囲気だ。
「どうする? 声かけてみる?」とライター。「ええ?…やめとこうよ。どうせモデルかタレントだよ、撮影を頼んだって“事務所を通してちょうだい”とか言われるに決まってるよ」と及び腰の私。……でも翌日、翌々日とまたビーチに出てみても、やっぱりイチバン目立つ美女は圧倒的に彼女なのだ。広いビーチではあるけれど、ずっと行ったり来たりしているモンだから、彼女も当然、我々に気付いているようだ。「くっそォ…汗かきかき歩き回ってるオレらを、冷ややかに見てるんだろうなぁ…」「やっぱりさ、ダメ元で声かけてみようぜ!」……ライターがそう言って、彼女に近づいた。「すいませ〜ん! 雑誌の取材なんですけどォ……」


ライターが企画内容を説明し、撮影させてくださいとお願いをした。「ほんどうにアダジでもいいのかじら…?」としゃがれた声が響いた…………。

驚いたことに、“彼女”は男性だったのだ! 「え? ど…ど…どうしようか??」と予想外の展開に戸惑ったが、結局は撮影させてもらうことにした。だってオモシロイじゃん…いやむしろこの手のアクシデントは積極的に利用すべきだよ!…と考えたうえで。……結局“彼女”の写真はクイズになった。「問題:この中にひとり、ホントは男性がいます。さて誰でしょう?」と。

近づいて話しかけてさえも、彼女がじつは“彼女”でないことにまったく気づかなかった私。よくよく見ると、チビだと思ったカレ氏の身長が、171cmの私と同じくらいだった。「身長…180ぐらいがな。学生時代は野球やっでだのよねェ…」 はぁ……元球児だったんですか。


「いやァ、もしかしたら…かもなぁとオレはずっと思ってたんだよね」とカメラマン。「そんなぁ…! 先に言ってくださいよォ」と我々。……やっぱりカメラマンともなると、目から入ってくる情報を正しく把握する能力が研ぎ澄まされてくるのだろうか? 

……後日、仕上がった写真を見ると、たしかにひと目で明らかに“彼女”が男であることが理解できた。骨格がまったく違うのだ。どんなにキレイでも、フィルムを通じて客観的に見てみると、肩幅は広いしすらりとした脚の伸び方も他の女のコたちとはあまりにも違うので、これまたビックリだった。


でも、あの日のあのビーチでは、まぎれもなく“彼女”がいちばんの“美女”だったと今でも思う。

※沖縄初体験の思い出バカ話は<http://d.hatena.ne.jp/Tuduki/20050407>に!(笑)