自然の掟には勝てない

Tuduki2006-05-29

最近、無意識にダジャレを言ったり考えてしまう回数が著しく増えた。


無論ダジャレといっても、私の場合は「ダジャレを言うのはダレジャ?」とか「下手なシャレはやめなシャレ」みたいなベタベタなものは絶対に言わない。…………とかゆうとエラそうだが、「やめなシャレ」のほうが苦笑いしてもらえる分だけ、実用的にはずっとマシだ。私のダジャレは、相手を戸惑わせる効果しかないようだ。

たとえば今朝思いついたのは「一匹オーガニック」というダジャレ。もちろん(…というか意味不明だった方に解説すると)これは「一匹狼」のダジャレなのだが……だからって一体それがなんだというのだ? このダジャレを使えそうな状況などまったく想像もできない。そんなワケで幸いなことにまだこのシャレを言ってない……よかったよかった。

それから先日、妻と世界遺産のDVDを見ていたときに口から飛び出したダジャレは「見ざる、聞かざる、言わ〜ざ、る〜〜♪、言わ〜ザ・チルドレン〜〜♪」。もちろんこれは、日光の三猿「言わざる(猿)」とチャリティ・ソング「ウィ・アー・ザ・ワールド」とのシャレだ。突然歌い出したので妻の爆笑はとれたが、「外では絶対にやらないように」ときつくクギを刺された。


それにしても……若い時分には新人マンガ家やライターの安直なダジャレのネームに激昂していたほど“ダジャレ憎し!”だったこの私が、世間のオヤジ諸先輩同様に、ダジャレなんぞをごくごく日常的に口にする世が訪れようとは……暗鬱な心持ちである。この私までが40歳を過ぎたころからダジャレを言い出したという事実は

【ヒト(人間)のオス(男性)は、中年になるとダジャレを言い始めるように遺伝子レベルでプログラミングされている】

という説がやはり真実であったのだと証明しているようかのようだ。


この説は、中年を迎えた世間の男子諸先輩方の多くが自分自身の体験として実感してきた、いわば「経験則」である。好き嫌いにかかわらず【中年男性はダジャレを言う】ということは、我々人類の前に横たわる抗いがたい事実なのだ。

しかし、【中年男性のダジャレ】がDNAレベルでプログラミングされた結果の産物であるとしたら、そこには「理由」が存在せねばなるまい。すなわち「中年男性はなにゆえダジャレを言うようになるのか?」。……長い間、謎だったのだけれど、このたび私はその「理由」をはっきりと理解してしまった! そこでこの場を借りて発表したいと思う。その理由とはすなわち……


【ヒト(人間)のオス(男性)が中年になるとダジャレを言い出すように遺伝子に組み込まれているその理由は、若いメス(女性)に好かれないようにするためである】
ということだ。


若い女性はダジャレが嫌いだ。つまり中年のオス(男性)が遺伝子に操られて無意識のうちにダジャレを言ってしまうことで、若いメス(女のコ)がなにかの拍子にうっかり中年のオスを好きになってしまわないよう、その危険を大幅に軽減させている…というワケだ。若いメスの関心が若いオスのほうに注がれるように、自然(神さま)がしくんだ巧妙な仕掛けだと言えよう。恋愛はもちろん個人の自由だけれど、「種の保存」という観点からすれば、より生殖能力の高い若いオスを若いメスとカップリングさせようとするのは、まさに「自然の摂理」なのだ! 
そう考えてみれば、「ハゲる」「太る」「足が臭くなる」「歯が黄色くなる」「汗かきになる」そして「ダジャレを言い出す」等々の、中年男性特有の現象はすべて、若い女のコが嫌う要素ではないか……! なるほどこうして、中年男性は若い女のコにモテないようにモテないように…と、「自然(神さま)の大いなる力」によって操られているワケか。くそっ。……くやしいが、まったく自然のしくみは怖ろしいほど緻密にできていることよ。


ではそれでは、【中年オヤジは恋をするな】ということなのか? 
いや、そうではない。「自然(神さま)の大いなる力」はきっと【中年のオス(男性)は、中年のメス(女性)と恋をしなさい】と命じているのだ。
その証拠にホラ、

【ヒト(人間)のメス(女性)は、中年になると他人の話に耳をかたむけなくなるように遺伝子レベルでプログラミングされている】

ではないか! 中年男性がどんなに醜悪なダジャレを言おうとも、中年女性はハナから“聴いちゃいない”のだから。……それゆえ恋も成立するって寸法なのだ!(笑)

まったく良くできたものだよ「大自然の摂理」ってヤツは。「神さま」かなんだか知らないけれど「人智を超越した存在」を、宗教嫌いの私ですら信じたくなるほどだ。……神さまおそるべし!


……しかし私にとってもっと怖ろしいのは「神さま」ではなく、「カミさん」なのである。
あ……またダジャレじゃん。