引っ越しました

Tuduki2006-04-06

御無沙汰しておりました。


しばらく書けなかった理由はもちろん忙しかったからだけれど、忙しさの中身は、いよいよ新しい出版企画が本格的に動き出したことや急にPR記事をつくれと命じられたことよりも、引っ越ししたことに尽きる。……そう、ついに新居が完成して引っ越しをしたのですよ!


といっても、正確には「完成」という表現には語弊がある。

ご覧のように、できあがったのはあくまで新居本体のみ。玄関までの階段や塀やポストなどの外構まわりはまだこれからだし、いやそれどころか家の中だって、カーテンもなければエアコンをとりつける穴もあいてない状態なのだ。
でも、この状態ならばもう十分に雨露はしのげる。ダンボールに両側を囲まれて布団を平らに敷けず、丸まった布団の真ん中でタコスの具みたいになって寝る生活とはもうオサラバなのだ! カーテンの代わりにダンボールやシーツで目隠しする暮らしは、なんだか文化祭みたいで妙にウキウキするぞ!


それにしても、マンション売却→仮住まいアパート→新居…と続けざまに2回引っ越ししたわけだが、本当に疲弊しきったよ私は。世の中には引っ越しを趣味とする方々も大勢いるけれど、とても私には理解できない。我が家では実際、5か月前のアパートへの引っ越しのときは、妻が倒れた。私と妻の両方の両親から「カネをケチって引っ越し楽々パックにしないからだ」と私が責められた。寝込んだ妻を横目に、半ベソかきながら徹夜でダンボール詰めしたあの苦しみは、一生忘れないだろう。

ダンボールは50個までが料金内。もちろんそれで収まるワケもなく追加が必要だったのだが、他のヒトが使った中古ならばいくつでも無料だと言う。新品にこだわる理由もないので中古のダンボールをもらった。ふと見ると、中身がわかるように「書籍」とサインペンで書いてある。「書籍」だとぉ…!? こっちは半ベソかきながら「本」「本」「本」…と必死でなぐり書きしてるってのに、画数が多い漢字で「書籍」と丁寧に書いてやがる。しかも達筆じゃないか…気取りやがって。あ、さてはコイツ、引っ越し楽々パックを使いやがったな? ……などと深夜にやつあたりした5か月前の私であった。今回の引っ越しは梱包しっぱなしの荷物もあったので、その点では楽だったけれど、結局ダンボールは200近くになった。


ともあれ、引っ越しは完了した。いまはダンボールを空にしている真っ最中。ひと段落したら200個のダンボールを回収にきてもらい、程度のいいモノは中古ダンボールとして、またどこかの引っ越しで活躍することになる。


……空になったダンボールの、なぐり書きされた文字を見て、ふとイタズラを思いついた。「本」という文字の前に“エッチな”と書き加えてみる。
「エッチな本」
おおっ、いいじゃん! 次にダンボールを使う家族はコレ見て、「いったいどんなヒトがどんなにエッチな本を入れたんだ?」なんて考えてドキドキするぞきっと!……うへへ。
さらに書き加えてみる。子どもの「おもちゃ」を入れていたダンボールの文字にも、“エッチな”と書き加えてみる。「エッチなおもちゃ」……おおおっ、なんだか調子が出てきたぞ! 続けざまに“エッチな”をどんどん書き加えてみた。

「“エッチな”DVD」 「“エッチな”雑貨類」 「“エッチな”PCまわりの品」 「“エッチな”文房具」 「“エッチな”調味料」「“エッチな”包丁やまな板とか」 「“エッチな”子ども服(夏)」 「“エッチな”ママの靴」 ……ワケがわからなくなってきたぞ。

このダンボールを次に使う家族、いったいどんな一家が引っ越しに使ったダンボールなのよと、ものすごくウス気味悪がるだろうなぁ……ふふふん、ぐへへへへ。


と、ひとりでニヤついていたら、いきなり妻に後頭部を殴られた。
「なにやってんのよバカ! これじゃ恥ずかしくて回収してもらえないじゃないのッ!」


というわけで、妻の罵声を浴びながら“エッチな”の部分をサインペンで消したダンボールは、引っ越し業者ではなく清掃局のリサイクルゴミの日に、目立たぬように縄で縛って出されることになったのである。