♪田舎じゃ負け知らず…?

Tuduki2006-02-13

息子が見ていた歌番組で、修二と彰のヒット曲『青春アミーゴ』がまだベスト10内にいることを知る。売れてるんだねぇ……


マイナーコードだけどアップテンポっていう躍動感と切なさの同居。いかにも“青春”テイストで、日本人の琴線に触れるよなぁ…などど好意的に受けとめたいところだけれど、歌詞がどうにも私の美意識から大きく逸脱していて気にいらない。

まあ出だしは、“アンダルシアに憧れて”たのに“ジョニーのヤツがしくじっ”ちゃったあの唄の続編のような、往年の日活アクション映画テイストの“深夜の埋め立て港の倉庫街でドンパチ”的な無国籍ノワール調の世界観を醸していて、適度に芸能界テイストな虚構感ただようイイ感じだ。
ところが、「♪地元じゃ負け知らずの〜」の歌詞のところでいきなり唄の風景が、“池袋で本物のヤクザにボコボコにされる、田舎のチンピラ(高校中退)”に変わってしまう。リアルすぎて気分もいきなり萎える……しかも若いヤツが「地元だったらイケてるオレらなのに」なんて小っちぇえ世界の話で威張るなよ。
さらに気に入らないのが、「♪間に合わなかった、ゴメンな」とか「♪お前が来てくれてウレシイよ」なんて会話をもって、安っぽい青春友情物語として内容をまとめちゃってることだ。
映画やドラマなら、ボコボコにされた屈辱をバネにして次はリベンジって展開だろうよ…どう考えても。「抑圧の解放から生まれるカタルシス」ってヤツだ。それなのに、この唄を最後まで聴いてもそういう展開はどうにもイメージできない。
私がこの『青春アミーゴ』を聴き終わって思い描いてしまうイメージは、
「田舎のチンピラが都会で一旗あげようとしたけれど、ヤバいブツに手を出して本物のヤクザにボコボコにされてしまい、逃げるように故郷(くに)に帰って、カラオケスナックをオープン。マスター昔はワルだったんでしょ? いやぁ、やんちゃやってたのはもう昔のことだから…なんて会話を常連と交わしてちょっとだけ得意になってる中年オヤジ」という感じである、ファンには悪いけれど。さらにそのカラオケスナックでノミ行為やって逮捕されちゃったり取り調べ中に不倫していたホステスと覚醒剤やってたことまで発覚…なんてところまで、負のイメージが連なってしまうのだ私には。



などと妄想を膨らませながら子どもと一緒にテレビを見ていたのだが。あ、楽しみにしていたトリノ五輪の男子ハーフパイプがもう始まってるじゃんか!…と突然気づく。慌ててチャンネルを替えたけれど、すでに日本選手の演技は終わっていた。しかも全員が予選落ちだって……? しばし呆然。
開幕前の五輪応援番組じゃ、どこもかしこも「日本のスノボ選手たちは世界トップレベル!」だなんて持ち上げてたのにどういうことよ? 結局いつものように誇大PRで視聴者の気分をムリヤリ盛り上げさせてた“粉飾演出”だったってことなのか? ……なんだかさっきまで見ていた『青春アミーゴ』の「♪地元じゃ負け知らずの〜」気分に微妙にリンクしてイヤ〜な感じになる。


「実力はあるのにメンタル面での弱さのせいで、本来の実力を出し切れなかった」なんて誰かのコメントも、今朝の新聞には出ていたけれど、それって、浪花節や演歌な気分でなんだか昭和っぽい。夏冬すべての五輪競技で、もっとも演歌な感じから遠いスポーツで、その言い訳はないよな…って思う。


優勝したホワイト選手さえ「日本勢には要注意」と言っていたのだから、たしかに彼らの本当の実力は高いんだろう。彼らが次の五輪で見事リベンジできて、応援する我々と一緒に最高のカタルシスを満喫できるときが訪れることを私は期待する。挫折感をかかえたまま、あっさり故郷(くに)に帰ってカラオケスナックなんか始めないように…と、私は祈ってやまないスよマジで。