さよなら夏の日

Tuduki2005-10-13

引っ越しにともない、愛用のボディ・ボードを処分した。


便宜上“愛用の”と書いたけれど、実際に愛用していたのはもう10年くらい前のこと。長男が生まれてからはますますひとりで海に行きづらくなったし、かといって乳幼児連れで波のある海に行くのは恐いし、そんな具合でもう何年も使っていなかったボディ・ボードだから、潮時といえばよい潮時だ。引っ越しは思い切って思い出ごと処分するよい機会だったのだ。


といっても、それなりに思い出は宿っているものだから少々センチメンタル。瞳を閉じればホラこうして、若かりしころの湘南の海の記憶が甦る……

(写真はサーフポイントで有名な七里ヶ浜。向こうに見えるのが江ノ島


1度だけだが、このボディ・ボードを抱えてハワイまで遊びに行ったこともある……もちろん長男が産まれる前だが。子どもが産まれると子ども自身が大きな荷物になってしまうので、さらにこんなのまで担いで海外へ行くなど、私にはとても無理。……あのときはホノルル動物園前のポイントに毎朝早起きして出かけて、登校前の地元高校生たちと一緒に遊んだなぁ。……今さらナンだが、毎朝やってくるヨソ者のヘタくそオヤジを、地元の高校生たちはどう思っていたものやら。今さらだけど、ちょっと気恥ずかしい。


10年以上前の商品なので、最近のボードとは形状なんかもまったく違うんじゃないだろうか。特に、前のほうがこんなに細く絞られたデザインは、今では存在しないんじゃないかと思われる……いや当時でも珍しかったかも。まあ、明るく陽気な真夏の陽射しには不似合いな濃緑の色ともども、よく考えて選んだつもりが“流行らない”側ばっかり選んでしまったということだろう。流行の波にまで乗りそこねたワケだな私は。


また、現在では“絶滅”してしまったのが、このフィンの形状だ。

「海中を素速く泳ぎ回れるイルカの特性を活かして……」とかなんとか、当時のカタログに書いてあったように、ご覧のとおり、イルカの尾びれの形をマネして、それを半分に割ったデザインになっている。この形状のおかげでイルカのように力強い推進力が得られ…るハズもない。左右非対称の形状でバランスが悪いものだから、水の抵抗で脚にへんな負担がかかり、キック力が逃げるわすぐ痛くなるわで、とんでもないシロモノだった。まあ従来のシュノーケル・フィンとの差別化をはかりたかったんだろうけど……「ブギ・ボード」と呼ぶのか「ボディ・ボード」と呼ぶのかも定着していなかった、ボディ・ボード草創期のトンデモ“アイデア商品”だなコレは。


という具合に、私の人生の「夏」が今朝またひとつ、ゴミ収集車に運ばれていったのだ。