怪談シリーズ(3) 私のボツ企画

Tuduki2005-08-18

「心霊写真の美人コンテスト」……かつて雑誌をつくっていたころに私が考えた、真夏の巻頭グラビア企画だ。


内容はそのまんまタイトルどおり。心霊写真をズラッと並べて、そこに写っている女性の幽霊(らしきもの)の中で、どの写真のコ(幽霊)がいちばんカワイイかを、読者投票によって決めよう!…という企画案だった。ふつうのフォト・コン企画同様に、それぞれの心霊写真にプロのスタイリストやヘア&メイクのコメントを添えたりして「衣装全体を暗いトーンでまとめるときは、オレンジ系の色をワンポイントに!」とか「前髪をアップにしたほうが表情が明るくなるよ!」なんて幽霊へのアドバイスがあったりして。そして、どのコ(幽霊)がイチバンか投票してくれた読者には抽選で、優勝した美女幽霊の心霊写真をあしらったテレカをプレゼント! ……とか考えたわけだ。


編集会議の席でも大変ウケたのだけれど……結局はボツ。不採用の理由は上の判断→「もし呪われたらどうするんだ!?」

はあぁ? ……私はもちろん「呪いなんてあるワケないじゃん」と思っていたけれど、仮に本当に呪いとしか思えない現象が起こったら、そっちのほうこそオイシすぎるネタになるじゃないですか! 呪いの実録連載企画ができますよ!そう私は主張したのだが、「なにかあったら責任とれん」の一点張り……ものすご〜く呪いとか祟りとかを信じ込んでるヒトだったのだな、全然知らなかったよ。


私は、もし本当に霊魂が存在するとしても、心霊写真だけは100%ニセモノだと考えている。科学的にどうこうという難しいオハナシでなく、なんかものすごく妙ちくりんな現象に思えるからだ……合点がいかぬ。だいたい、怨みのある当人とか事情のわかる知り合いのところに化けて出るんならともかく、なんで見ず知らずの他人様の記念写真なんかに写り込んだりするのよ?…お門違いだし怨みを訴えるにも非効率的じゃん。それともうっかり写っちゃったというのか?…油断してたのかよ。「霊感の強い人がシャッター押すと写ってしまうのだ」という御仁もいるが、その理屈だと “霊感の強い人”はどこでシャッター押しても幽霊写りまくりってことになるハズじゃないの??? 
私にはどうにも妙ちくりんなのだ。もし心霊写真が本当にあるとしたら、幽霊が写真に写る理由は「幽霊はお間抜けだから」または「幽霊が悪ふざけして脅かそうとしているから」以外には考えられないよ私には。


呪いや祟りにしても、たとえば、本当のお岩さんが良妻の見本みたいな女性で不幸な人生でもなんでもなかったことは史料に明記されている……じゃあ「四谷怪談」モノをやるたびに、墓参りしないと“祟る”のはいったいどこの誰の霊なんだろうね?

……バカ話のはずがだんだんシリアスになってしまった気がするが。祟りや呪いで誰かを脅かして“商売”にするインチキ宗教(それからインチキじゃない宗教)のやり口に心底怒った思春期の記憶のせいか、それで誰かを脅かすヤツも、またそんなモンをむやみやたらに信じ込んじゃう方々も、どちらも私には許せないのだ…じつのところ。