妻の冷たすぎる視線

Tuduki2005-07-25

NHK教育の『おかあさんといっしょ』。
ダンスのおねえさんが、子どもと一緒に創作ダンスを踊るコーナーがある。ゾウやリスなどの動物を体の動きで表現するのだ。それを見ていて、ふと…
「このおねえさんも、プライベートでは『裸のまま踊ってみてよ♪』なんてカレ氏に言われたりして、『もォ仕方ないわねェ…今日だけよ♪』とか言いながら、ベッドの傍で踊って見せたりするのかなぁ……」
…とつぶやいたら、妻に鬼の形相でニラまれた。


「子ども達が純粋な気持ちで見る番組を、そんなエッチな視線で見ていたのッ!? 信ッじらんない、このヘンタイっ!」と妻。
「い…いや。べ、別にエロい目で見てなんかないよ。その…なんだ、可能性の話としてサ、ちょっと考えただけだよ。若いカップルだったら、そのくらい、ふざけてやりそうじゃん…きっと。」とうろたえる私。だが妻の攻撃は容赦がない。
「それじゃ要するにやっぱり、ダンスのおねえさんのそういうエッチな場面を想像してニヤついてたってことじゃないの! バッカじゃないの、このエロ中年ッ!」


……妻の冷ややかすぎる視線。夏だというのに体感温度は下がる一方だ。こりゃ好都合…ってなるワケもなく、蛇髪女ゴーゴンの視線ビームを浴びた哀れな蛙の如く、石と化した心境。体感温度は急速冷凍…一瞬で氷点下だ。けれど、私がふだんから品行方正でもなく…ってより明らかに下品サイドの人間であることは、妻だって承知のハズなのに。それに健康な男子ならば、そのくらいの想像力は豊かにのびのびと発揮するモンだぞおそらく。

「そ、そ…そんな大袈裟なコトじゃなくてさ、たとえばカノジョが看護婦だったらナース服を着せてエッチなことしてみたい…って思ったりするモンだよ男って生き物は。ほら、新宿とかにはそういうお店もあるっていうじゃん…制服パブとか。それと似たようなモンだよ」


弁解するのにフーゾクを例に出すのもどうかと思うが、全裸ダンスよりはまだ制服ヘルスのほうが市民権を得られていると考えたのだ私は。…という以前に、なぜこんなにも必死で弁解してるのだ私は? 浮気したワケでもなければひとり妄想して興奮していたワケでもないのに……嗚呼。ところが妻は、私の論点の不備を指摘さらに訂正した…
「それとは意味が違うでしょ! 制服を着せて喜んでるのと脱がして喜んでるのとじゃ逆じゃないの! あんたのたとえで言ったら、看護婦のカノジョに“白衣を着せる”んじゃなくて、“全裸のまま血圧を測らせたり注射を打たせたりする”ことでしょ、全裸でダンスさせるのがいいんだからッ!」


「え? ああ、そうか……なるほど。……おお、そっちのほうが制服よりコーフンするよね、たしかに…」


……やばッ、妻の視線がより一層冷ややかになった。
体感温度はますます下がり、私はそれこそ全裸で冷凍室に入ったような心持ちになったのである。