夏を先回り

Tuduki2005-06-14

「先取り」ではなく「先回り」。気分的には。

マンションを見に来る(でもなかなか買ってくれない)お客さんが週末ごとに訪れるので、この2か月ばかり子どもたちをどこにも連れて行けなかったものだから、小学校と幼稚園が「父の日参観」の振替休日となった月曜日、私もついでに有休をとってちょこっと出かけることに。

品プリに新しくできた水族館を目指して出発したのだが、まずは横羽線の子安付近、次に一般道の生麦と、通るはずだった道も代替案だった道も次々と事故渋滞に。まるで品川には行くな…と見えざる手に通せんぼをくらった気分になり、いつもの江ノ島方面に行き先を変更したのだが……結果的にはこっちのほうがヨカッタかな。海風が心地よかったです。

鵠沼海岸には平日だというのに、海岸にはサーファー、砂浜には潮干狩りごっこをする家族があふれ、なかなかニギヤカ。そうやって遊ぶ観光客を尻目に砂浜の一番奥では、海の家づくりが急ピッチで進められていた。


江ノ島には“大学生”だったころ、毎週通っていた。
大学にも行かず毎日ぶらぶらしていたろくでなしの私は、用もないのに江ノ島までクルマを走らせては、ビール飲みながらウォークマン聴きながら本を読みながら、バイトに行く夕方までの間、堤防で昼寝をしていた。
入学してわずか3週間後には自分が法律の勉強にまったく向いてないことに気づき、かといってまた浪人して翌年に別の学部を受け直すなんて出来るわけもなく、手詰まり感いっぱいで袋小路にはまっていた当時の私。このトシになってみると、あんなモン悩むほど大袈裟なことじゃなかったんだよなぁ…と判るけれど、当時は、その先にあるはずの未来のことを考えるたびに重圧に押し潰されかけていた。そんな自分を救ってくれたのが、江ノ島の“ユルさ”だったんだよなと思う。

灯台が新しくなったり庭園をリニューアルしたり日帰り風呂ができたり水族館もきれいになったり…と、真夏以外も観光地として客をよべるようにと活性化をはかる江ノ島だが、そんなもん屁でもない…といった具合にあいかわらずひなびていた。いい具合にくたびれた感じ……それでこそ“オレの江ノ島”だよなと今回もまた思う。


1個630円もする焼きガキをひとりで喰った息子たちは、この島が自分の親父を救ったことを知らない……などと柄にもなくセンチになった私だが、あのころ昼寝していた堤防は雰囲気のよい遊歩道になっていた。横幅も広がり両側に柵もついて……あのころの私のように寝ぼけて落ちそうになるヤツが減って安心だ。とかいう以前に、遊歩道になったんじゃ昼寝なんてもう出来ないか。