おくニック

Tuduki2005-06-08

屋上でメダカを飼っている。

子どもの頃から建物の屋上が大好きで、それが高じて屋上のあるマンションの一室に住んでいる現在。屋上でメダカを育てている。

もっともメダカにしてみれば「飼われているつもりはないね。だってあんた、エサくれないじゃん」てな心持ちかもしれないが。ふふん、まあたしかにそうだ。エサをやるのはごくごくまれに気が向いたとき…年に3回くらいだろうか。飼っているというよりは、プラ容器の水たまりの中にメダカを入れているだけ…と表現するほうが正確か。

これは最近の小学校では必須科目になりつつある「ビオトープ」という考え方にもとづいた飼育あそびなのだ。たぶん私の小学生時代にはこんな言葉や考え方すら存在しなかったんじゃないかな。詳しくて楽しい内容は[ベランダ ビオトープ]で検索するか、こちらをご覧ください。
http://www32.ocn.ne.jp/~ecol/1door/1door.html

という具合に、我が家ではメダカやヌマエビなどを“放置”している。「ビオトープ」を名乗るほど本格的ではないにせよ。でも、そんな程度の水たまりでも、田んぼから持ってきた土からサカマキガイが出てきたり、トンボがいつのまにか卵を産みつけてヤゴが棲みついていたり、謎の植物が生えてきたり…と、私の思惑と関係ないところで勝手に“自然”化してしまっているのが面白い。

最近の毎朝の日課は、メダカの卵あつめ。メダカは今が産卵時期だ。ホテイアオイという浮き草の、ブラシみたいな根っこにカラダをこすりつけて、卵を自分のカラダからはがすのだ。写真がその卵の様子。卵の大きさは1ミリ弱くらいか。
この卵を今度は私が指の腹でそっとホテイアオイの根からはがし、別の容器に入れ替える。このままほっといても卵はふ化するのだけれど、ふ化したとたんに親メダカがパクッと食べちゃうもんだから、隔離する必要があるのだ。もちろん“自然”にまかせて放置をつらぬく手もあるのだけれど、親が食うせいで子が死ぬ様子を見て見ぬふりというのは、なんだかねぇ……。


先日のアゲハもそうだけど、自分んちの屋上(orベランダ)で遊ぶのは楽しいもんだ。プランターでの家庭菜園もどきも、わざわざナスやピーマンの苗を買ったりもしたけれど、ゴーヤチャンプルー食べたあとのタネを植えればちゃんと実がなったし、万能ネギや小松菜なんかは、切り落とした根っこの部分をプランターの隅っこにでも差しとけば、立派に新しい葉が伸びてくるのが面白い。もちろん食べる。とくに万能ネギなんか、どうせ薬味で少量ずつしか使わない野菜なので、使うときに必要な分だけ切れば、次に使うころにはもうその分がまた伸びていて、とても便利です(笑)。

ほっといたらあちこちのプランターから生えだして、いつのまにか群生してしまったシソの葉をちぎって、その場でサッと水洗いして生ハムをくるくる巻いて喰うのが旨い。ワインと生ハムをかかえて夕方の屋上に向かっていくと、妻と子がすぐに気がついて、めいめい飲み食いするものを手にあとをついてくる。我が家ではこれを屋上+ピクニックということで勝手に「おくニック」と呼んでいる。


……こうした屋上での擬似自然ごっこ。なんとあのシートンが、100年も前のニューヨーカーに推奨しているんです! シートンの評伝を読んでいたら、シートンが私がやってることとおんなじことを都会生活者に薦めていた記録が載っていて、とても驚いた。
まあもっとも、港北ニュータウンは半分しか都会じゃないけれど。

(徹夜シゴトと夜遊びばっかりしていた昔の私を知る人々が、これ読んでどう思うか、少し不安になりました:笑)