週に30回

ヴァーチャル東海道の旅は続く。多摩川を越え、我が神奈川県に入った。

ショーケンにならって夜の住宅街をお遍路に見立て、岡江久美子よろしく閉店タイムサービスの生鮮品を詰め込んだビニール袋を両手に持ち、23時の港北ニュータウンをずんずんと徘徊してみる……セコムのシールが貼られた瀟洒な家々の、人感センサー照明がパッ…パッ…と灯るたびにドキドキした私だ。「え〜と、このあとはどう行くんだっけなぁ…？」などとさりげない独り言をよそおいながら、不審人物でないことをさりげなくアピールしてみるが、暗闇をブツブツつぶやきながら歩く男として不審ぶりに拍車をかけただけで、さりげなさ度は皆無だ。パトロール中の警官に出会わなくて幸いだ。
それにしても健康維持は難しい。カラダによかれと思ってウォーキングしたはずなのに、腰が痛くなってきた。

妻が健康診断を受けるということで、事前に問診調査票が送られてきた。よくあるアンケート書き込み方式の書式だったが、その中にこんな質問があった。
Q. お通じの回数は、一週間に何回くらいですか？　　A.（　　　）回

……便秘に悩む成人女性が多いということはよく聞く話だし、あれだけTV-CFをやってるんだから、その現状が如何ばかりかは男性の私にだって容易に推測できる。とはいえ、実際に排便の回数を数える基準が“週”単位であるのを見ると、やっぱり驚くなぁ。

私は男性でよかった…とつくづく思った。大喰らいだけど野菜好きの私は、おかげで腸の調子は絶好調で24時間フル稼働しているものだから。週単位でお通じの回数なんか記入したら、医者に笑われる数字を書く羽目になるところだよ。
でも、あれ？　私の妻もべつに便秘で悩んでないかないよな、週に１〜２回のお通じなんてことは絶対にありえない……ってことは、妻はいったいどんな週単位の数字を書きこむんだろう？
ニヤニヤしながらそう尋ねると、「バッカじゃないの。統計とるわけじゃないんだから、“問題なし”と書けば十分じゃないの！」……それもそうだ。