恐竜ブームを滅亡させたのは?

Tuduki2005-04-22

上野の国立科学博物館で開催中の【恐竜博2005】を見てきた。
http://www.asahi.com/dino2005/

いくら平日とはいえ、あまりに閑散としていた会場に驚く。主催&会場が本家本元の国立科学博物館だというのに……こんなにも不人気じゃあ関係者はさぞガッカリしていることだろう。まあ毎年毎年“恐竜博”やってたんじゃあ、恐竜マニアや博物館好き以外の一般のお客さんにゃさすがに飽きられるわな。
ちなみに最近4年間欠かさず行われてきた“恐竜博”を振り返ると……

●2002年【世界最大の恐竜博】会場:幕張メッセ 主催:朝日新聞社NHK
→見どころは世界最大の恐竜「セイスモサウルス」の、全長32mの全身復元骨格。ほかにも20m超の首長竜の全身骨格がわんさかで、文字どおりデカさを売りにした恐竜博だった。イベントとして大成功〜開催2か月間の総入場者数108万5049人、平日でも待ち時間が100分を超える日があり、入場者の列が幕張駅の改札まで繋がるほどの盛況ぶりを誇った。


●2003年【ジュラシック・パーク インスティテュート・ツアー】会場:代々木特設会場 主催:フジテレビ
→儲け話に敏感なCXが、恐竜博の盛況ぶりを見て突貫工事で仕掛けた企画(と言われる)。見どころは映画『ジュラシック・パーク』に登場する恐竜研究所の様子を精密に再現……ということだったのだが、その正体は子供だましのロボット恐竜。からだの一部が規則正しく稼働するだけのオモチャ恐竜と役者のヘタくそな芝居という構成だった。連日入場待ちの行列ができる大盛況だったからイベントとしては大成功といえる。“本物”の恐竜は入り口に飾られたTレックスの頭骨のみ、また監修者としてクレジットされた恐竜研究者の素性も疑惑に満ち、しかも入場料は、前年の本物の恐竜博(2500円)を超える2800円! 冠スポンサーだったウェンディーズにまで抗議の声…というのはまああくまでウワサだろうけれど。


●2004年【驚異の大恐竜博】会場:幕張メッセ 主催:日本経済新聞テレビ東京
→「恐竜が進化して鳥になった」という最新の学説を裏づける、羽毛のある恐竜の化石が最大の見どころ…という、学術的視点ではともかく、イベントとしては地味な“主役”。それを補うために、有名な恐竜をひととおり揃えたり発掘現場の実物大ジオラマを造ったりと工夫したのだが……いかんせん主催がイベントに縁遠い日経新聞とテレ東であったために、客呼びPR自体も地味になってしまった。中国の化石が多かったのにちなんで、雲南地方の料理を出すブースを設けるというセンスも「???」。しかも中華料理なのに、飲み物は協賛社コカ・コーラの製品だけでもちろんアルコールもなし…とますます「???」。展示物の貴重さに相反して、イベント的にはズレまくりだった。


●そして2005年【恐竜博2005】会場:国立科学博物館 主催:国立科学博物館朝日新聞社
→売りとなる最大の見どころは、ティラノサウルスとしては世界最大となる化石「スー」の全身骨格。ただし全体の構成としては、昨年の恐竜博のテーマ同様に、恐竜から鳥に進化したことの検証が中心である。春休みにオープンをぶつけたにもかかわらず、1か月で入場者は20万人。ふつう動員数は先細りするものなので、数字としては相当に厳しい。




……「恐竜を滅ぼしたのはメキシコに落ちた巨大隕石」というのが現在もっとも有力な説だけれど、ではあの“超”が5個くらいつきそうな恐竜熱をたった4年でここまで冷え込ませた犯人はいったい誰なんだろう? 毎年毎年開催して客の関心度を摩耗させた某社? 入場料に見合わないお粗末な中身で客を呆れさせた某社? 

ただし今回の恐竜博、数字面はともかくとして真面目に見る分にはそんなに悪くないです。空いてるからゆっくりじっくり見られるし(注:週末はさすがに入場制限があるようです)、いつの時代でもイチバン人気の恐竜T-REXの、世界最大サイズの化石である「スー」は、やっぱりものすごい迫力があるし。入場料も1400円と安い!……ただ、国立博物館売店は、博物館グッズがとんでもなく充実しているので、科学マニア博物館マニアそしてフィギュア好きは散財の覚悟をしたほうがいい。

※写真は、恐竜博を記念して企画されたT-REXのフィギュア。製作は海洋堂で各1,000円。子どもに見せびらかしたら10分もしないうちに壊された……また買いにいかねば。