実写『ムーミン』

Tuduki2005-03-20

私の住む港北ニュータウンの、横浜市営地下鉄センター北駅で、その名も「センター北祭り」というイベントが行われた。

根っからの地元民が非常に少ない“移民の町”なので、この手のイベントを仕掛けることで“地域愛”を育もうというのが行政側のたくらみらしい。シンガポールなどの多民族国家でも「民族意識を大事にしつつ、国民意識を育てよう」というねらいで行政側が仕掛けるイベントが盛んで、しかもそれなりの成果を収めているそうだから、まあいい企画だよな…と思う。たしかに知らぬまに“ジモティ”意識が芽生えてきた気がする港北NT在住7年の私だ。

多民族エリアの港北NTだが、分布的には明らかに“関西民族”が多い。もしかしたら私のような横浜市内からの移住組よりずっと多い。祭りの雑踏のなかでも関西の言葉が乱舞して、まったくもって横浜らしくない空気だ。「港北ニュータウンって、なにかしら関西人の群れを呼び寄せる雰囲気を醸しているのかなぁ? 阪急デパートはあるし、しかも観覧車つき(←梅田店と同じく)だし」などと推測していたのだが、よくよく考えてみれば、きっと単純に帰省しやすい…ってだけのことだろう。新幹線も高速道路も大阪方面に向けて一直線だから。この街は東京のベッドタウンであると同時に、関西方面からの出張所でもあるのだ。リトル関西だ。道理で焼き肉屋やお好み焼き屋が多いはずだ…と思ったがそれは根拠の乏しいこじつけだろう。その理屈からいけば石釜炭焼きのピザを出す店こそ、全国平均よりずっと多いと思われるが、ナポリ出身の住民なんていまだ見たことないもの。

わが街・港北ニュータウンには緑も多い。そんな豊かな緑を誰よりも満喫しているのがきっと、ホームレスだ。とある高架下に住むホームレスたちは、近くの水道でからだを洗っていて全然くさくない。それどころか、天気のいい日は布団を干しているほどきれい好きだ。しかもカセットコンロで調理をし、マイ自転車を所有し、ギターまでおいてある。「ホームレス」というより、まるで「さすらいの旅人」のようで……ちょっとうらやましいぞ。

でも、もし童話『ムーミン』が実話だったりして、そのドキュメンタリー映画がつくられたりしたら、画面に映る実写のスナフキンって、きっとこんな感じなんだろうなとも思う……それはちょっとヤだ。