『エターナル・サンシャイン』を応援したい

Tuduki2005-03-17

今週末に公開される映画『エターナル・サンシャイン』について。試写の感想は1/12欄<http://d.hatena.ne.jp/Tuduki/20050112>にも記したのだが、鑑賞してから2ヶ月以上経ったいまでも、ときどき急にこの映画のことを思い出してほろ苦く切ない気分になる。なぜか昨夜も思い出した……私にとっての今年のNo.1映画になることはたぶんないだろうけれど、何度も思い返す映画No.1にはなりそうだ。

ネタばれにならないよう内容はいっさい書かないが、主人公をジム・キャリーに演じさせた理由がわからない。いままでの彼のキャリアとはまったくちがう役柄だ。本当はジム・カヴィーゼルにオファーしようとしたらしいのだが、「カヴィーゼル」のスペルがわからなかったために連絡先を調べられなくて、スペルが簡単な「キャリー」に電話した…というウラ話もうなずける。
けれども、いつもとはまるでちがうジム・キャリーの芝居が、私の心には強く響いた。同じくいつもとはまるでちがうキャラを演じたケイト・ウィンスレット(この作品でオスカー主演女優賞ノミネート)も、切なくなるほどの好感を抱かせてくれた。

脚本は『マルコヴィッチの穴』『アダプテーション』ほか、特異な脚本を連発してきたチャーリー・カウフマン。「ハリウッドのクドカン」と呼ばれ、時代の寵児のように扱われている才人だ。もっとも嫌悪感を示す映画ファンも多いようだが。今回もまた「頭でっかち」「ねらいすぎ」「意味わかんねぇよ」等々、アレルギー反応を示す観客は多そうだ。私はまったくそう思わないが、そういう文句を言いたくなる人々の気持ちもなんとなくわかる。ただ今回の作品は、脚本のねじれ方はともかく、誰もが多かれ少なかれ思い当たることが主題なので、身に染みるヒトは多いんじゃないだろうか。

正直いって、作品としてのクオリティが高いとは思わない。けれど、恋愛経験がある観客ならば…特に気まずい経験が豊富な方々ならば、あったかい気持ちとイヤ〜な苦味が絡み合った、複雑で豊饒な味わいを感じ入ることだと思う。そういう人々のためだけに創られた映画と言ってもなんら差し支えない…とすら思える。

なお、「ハリウッドのクドカン」云々というくだりは言うまでもないが、ジム・カヴィーゼルのウラ話もまったくのデタラメなので、他人に言うと恥をかきますよ。