【プレミア日本版】は休刊号

Tuduki2005-02-28

今年もアカデミー賞が終わりました。
今年もまた私の予想は呆れるほど当たらなかった。助演賞の男女が当たったところまでは浮かれてたのに、自信たっぷりだった作品・監督・主演男女の賞が総崩れするとは……! 予想がはずれた分だけ『ミリオンダラー・ベイビー』がものすごく待ち遠しくなったけれど。

終わってしまった賞レースはさておき、今年はいよいよ『スター・ウォーズ/エピソードⅢ』の公開年である。エピ3の表紙だったので、しばらくぶりに【プレミア日本版】を買ってみたら……表紙では創刊7周年記念号であるかのように謳っているのに、中を読んだらこの号で休刊(という名の廃刊)だったので驚いた。自称“世界で一番読まれている映画雑誌”の【PREMIERE】も、日本とは相性悪いんだなぁ…これで二度目の創刊&廃刊だもんな。

【プレミア】が危ないらしいよ…というウワサはもう2年近く前から聞いていたので、廃刊自体は寝耳に水ではなかったけれど、この時期に廃刊するというのがちょっとオドロキ。だってSWシリーズの最後を飾るエピ3公開が目前なうえに、同時期にスピルバーグの『宇宙戦争』も公開と、これから先盛り上がること必至なのに。私がウワサを聞いてから2年近くもの間なんとか持ち堪えられたのだから、話題作&ネタがめいっぱいの今年あと1年くらいは持ち堪えられると思うのだが……それほどまでに経営的にギリギリ状態だったということなのだろうか。

などと言っている私自身、ここ2年はほとんど買ってなかったワケだし、要するに映画ファンのニーズとは合わなくなったということなのだろう。ほとんどが署名記事だし、ちょうちん記事ばかりじゃなく否定意見も載せてあるし、日本じゃ読めない翻訳記事もあるし…と、ちゃんと映画“ジャーナリズム”然としているところが好きだっただけに、廃刊はとても残念に思う。

以前は手当たり次第に買っていたが、現在の私が毎号欠かさず買う映画誌は【映画秘宝】のみ。創り手自らが自らをボンクラまたは中学生男子と名乗ってみせながら、そのじつ本当はこの雑誌が一番“ジャーナリズム”然として、批評精神(←批判ではなく)に富んだ記事づくりに徹しているからだ。「哲学」も感じられる。なので他の映画雑誌のように、書店や社内の資料閲覧室で立ち読みして済ますのは申し訳なく思ってしまい、毎号ちゃんと買ってしまう。(他誌も、自分の生業からしてじっくり立ち読みするのはルール違反だとは思っているのだが…なかなか買うまでの気持ちの盛り上がりには達しない)

映画に関するたいていの情報がネットで手に入ってしまう時代だから、それでも雑誌を買わせようとするには、映画会社や配給会社からのお手盛りのPR情報とは別の視点の情報を読者に提示することが、映画雑誌には求められているのだ。そうした批評精神と哲学に満ちた【プレミア日本版】の、3度目の新創刊号が生まれることを私は期待する。【映画秘宝】大好きだけど、ほかの視点の記事も読みたいもんね。

※写真は、【プレミア日本版】廃刊号と、エピ1公開時のアメリカ版【PREMIERE】。アメリカ版は、表紙は4種類だけれど中身はおんなじ。SWファンが4種類集めることを見すかしての商売上手っぷりだ。ファン魂を喰いものにしてるようで腹立つけど……買っちまうよなやっぱり。