【UOMO[ウォモ]】創刊号を買う

Tuduki2005-02-24

今日の私は呆れています。

「40才、オトナを遊びつくす」という宣伝コピーの、24日に新しく創刊された雑誌【UOMO[ウォモ]】(集英社)をさっそく読んだのだが……酷いなこの出来は。雑誌自体は分厚いのに、肝心の記事の内容が薄っぺらすぎて、うわっツラさえも繕えていないじゃん。40代男性をバカだとでも思ってるのかこの雑誌は? 

ファッションもカルチャーもクルマも時計も宿紹介も、なんにも知らない人が聞きかじりで書いただけみたいな内容に呆然。もちろんあの集英社が、素人みたいなスタッフを使うはずもないから、この薄っぺらいテイストは編集部の意向によるものなのだろう。「読者に新しい分野への興味をもってもらうために…」てな感じで、敷居を低くしたつもりにでもなっているんじゃなかろうか。……でも40代って、そういう年齢かァ? 昔から「不惑」なんていうように、40年以上生きていろんなものを見てきたなかで、自分の好むものとそうでないものを既に自分の意思で選び済みなのが40代なんじゃないの? 食い足りない記事をズラッと並べたところで、そんな安っぽいガラクタ(←記事のクオリティのこと。とりあげているブツは高価なものがゾロリだ)を誰が手にとるというんだろう。たとえばクルマの趣味を持つ人が、時計にも関心を抱く機会があるとすればそれは、時計の世界がクルマの世界と同じかそれ以上に“楽しく深い”世界かもしれない…と考えるからであって、本当はそういうチャンスを与える記事づくりをしなくちゃならないのに、この記事内容じゃ楽しさも深さも見えてこないじゃないか。

で、じゃあ実際のところ、どんな編集方針なのだろうか読もうとして驚いた。……見あたらないのだ。創刊号の場合、フツーは編集長の巻頭言みたいなのが最初のほうにあって「この雑誌はこれこれこういうコンセプトで創刊しました」という編集方針を高らかに謳うものなのだが、そんなページがどこにもない。唯一存在する“編集長のことば”は肝心の創刊誌についてではなく、巻末企画に寄せた「中田(英)たちはカッコイイ」みたいな内容のみ。なんだこりゃ? しかもヒデって40代ですらないじゃん。……いったい何をやろうとしている雑誌なのか、これでは皆目理解できない。(注記:本来あるべき巻頭言的な文章は【UOMO】のHPでは読むことが出来ます。けれど、なにゆえHP限定なんだろう?)

ところで
「40歳」という年齢は、昔から男の人生にとってはかなり重要なポイントのようだ。くだんの「不惑〜四十にして惑わず」は孔子の言葉だし、リンカーンは「男は40歳になったら自分の顔に責任を持て」と言った。日本では吉田兼好が「命長ければ辱多し。長くとも四十に足らむ程にて死なむこそめやすかるべけれ」と記している。
長生きすると恥ずかしいことが多いから、40歳になる前くらいで死ぬのがイイ感じだ…という意味。現在の私くらいが、イイ感じに死ねるギリギリということらしい兼好的には。……もっとも兼好自身は68歳まで生きた。長生きしたせいで経験できたことを、ちゃんと『徒然草』のネタにしている。
私はあいにくと40歳に足らない現在でもすでに“辱多し”なので、もはやためらうことなく40歳を迎えそしてさらに長生きして恥を重ね続けて、ネタを拾っていく所存である。

※写真は、電車の中で寝過ごしてしまい、駅のタクシー乗り場の行列も長すぎるため、流しのタクシーを探し求めて雪の中をとぼとぼ歩いた私の足跡……辱多し。