『Shall we Dance?〜シャル・ウィ・ダンス?』を観た

Tuduki2005-02-08

リメイクされたハリウッド版のタイトル原題は〈Shall We Dance?〉であり、『Shall we ダンス?』ではない。英語圏の作品なんだから当然なのだが、それはつまり「ほほおっ…それでこんな英語と片仮名まじりのタイトルだったのか!」と当時の観客が感嘆した、日本版の美ネタをひとつ逃したことを意味している。それでは、あの場面がハリウッド版ではどのように再現されているかというと…………………………まるで期待しないほうがいいです。まあたしかに“アメ〜リカンっ!!”なリメイクを施されたともいえる場面になってはいたけれど。

リメイク版を観て改めて、周防監督のオリジナル版がよくできていたんだな…と思った。結構そのまんまリメイクされているから。オリジナルと比べると、ビターな味わいは薄められて、誰もがハッピーハッピーとなるラブラブ映画になっているけれど、それはそれで御愛嬌。ハリウッド映画だもの。けれど、そうしたテイストの変更を別にすれば、相当にオリジナルに忠実な段取りをふんだ展開となっていた。海外の映画がハリウッドでリメイクされる場合、たいてい脚本がシンプルにわかりやすく変更されてしまい〜ときにはそのせいでオリジナルとまったく主題が変わってしまうリメイクも多いのがよくあるパターンなのに、たとえ功罪はあっても、物語をわかりやすく整理する技術の高さという意味では世界一のハリウッドが、ほとんどまんまでリメイクさせているというのは、オリジナルの完成度が高かったことを証明しているんだろう。(渡辺えり子の実生活が見えてくる展開は、ハリウッド版の変更を見て、ああなるほど…と感心しました)

竹中直人(役)も渡辺えり子(役)もそのまんまだし、それ以上に演出や細部のつくりなどでオリジナル版とそっくりになっている部分は多い。……クルマも洗ってるし。なので、ハリウッド版を鑑賞する直前に周防オリジナル版をレンタルビデオで見直しておくと、私と同様に“別テイク”好きな諸兄ならばより一層楽しめること請け合いである。(もちろん私もそうしましたとも! テイク違い比べが大好きなモンで)

ただここまでそっくりだとなぁ……鑑賞時はオリジナルへのリスペクトだと解釈したけれど、こうして文字にしながら冷静になってみると、単にスタッフの独創性に難があっただけ…という可能性も否定できない気が、だんだんしてきたなぁ……まあ、そのくらいクリソツなあがりですよマジで。

今夜は寄り道してロードショーでも観てから帰宅するつもりだったけれど、この映画みたら、早く帰ってヨメさんの顔を見たくなりました……お酒のCMみたいに夫婦で乾杯でもしてみるか(爆)