オスカー像の思い出

Tuduki2005-01-28

今年もオスカー・ノミニーが発表された。いよいよ世界中の映画ファンが注目するアカデミー賞シーズン到来だ。

さて、こんな書き方をすると自慢になってしまうが、私は本物のオスカー像を目の前で見たことがある。
L.A.コンフィデンシャル』で脚色賞を受賞したカーティス・ハンソン監督が、オスカー像を携えて来日したからだ。当時在籍していた雑誌で監督に取材したため、目の前で見ることができた。

そして、こんな書き方をするとさらに自慢になってしまうが、私は本物のオスカー像に触ったことがある。
我々が取材会場に着いたとき監督はまだ前の媒体の取材の最中で、オスカー像は隣室の卓上に置かれたままだったのだ。本物のオスカー像を眼前にして尋常でなく興奮する私を見て、配給会社の担当者だか同行の映画ライター氏だかに「ちょっと触ってみたら?」「授賞式みたいなポーズで写真撮っちゃおうぜ」など囃された。

……と、ここまでで話をやめておけば、ひとつの自慢話として完結するにちがいない。
けれど、所有者が他の取材を受けている隙にオスカー像で遊ぶようなこと、フツーできませんってば。もし私が本気になってオスカー像を抱えたとき、それにカーティス・ハンソン氏が気がついて「何ヤッテンダ、オマエ!」なんて叱られたら、どう言い訳すればいいんだ私は。さらにその瞬間あわてふためいてオスカー像を落としちゃったりしたら……!
そんな恐ろしい可能性を次々に考えたら、とても触る気になんかなれません。

精一杯の勇気を出して私は結局、オスカー像の足元のあたりをそっと指で触れたのだった。指紋がついても目立たなそうな場所を、人さし指の腹でそっと……。もちろん柔らかい布ですぐ拭いた。

以上の貴重な経験から私がまちがいなく断言できることは「オスカー像は、かたい」という真実である。


※写真は、オスカー像と同じくらいかたくてかわいいお地蔵さま(オスカー像を勝手に載せるのは権利関係的に怖いので日和りました)。