本日は「学校給食の日」

Tuduki2005-01-24

小学二年生の息子が、登校時間だというのにモタモタダラダラしているときに
「じゃ今日はお前のかわりにお父さんが学校に行って、お前の給食を喰ってくるけどいいな。え〜本日のメニューは……」と言ってメニューを読み上げるのは、我が家のありがちな日常である。
息子だって、まさか親父が本当に学校に行くはずもなく、だいたいそんなことしたら恥ずかしいのは親父自身だろうに…ということはもう判っているのだが、一応お約束ということで「やめろよォ」とか言いながら、多少はキビキビしはじめて無事に家を出る。

……のだが、今日はちょっと様子がちがった。
「え〜本日のメニューは、麦ゴハンに梅干しの入ったおにぎり1個とすいとんにみかん……ってエッ、なんだコレ? すごく貧相じゃん」
驚く父親の様子に、不思議そうに息子も一緒に献立表をのぞきこむ。

で、判明した。本日1月24日は「学校給食の日」。敗戦後、児童の健全な栄養摂取を目的に学校給食が再開したのを記念した日なのだそうだ。今日は「そんな時代があったことを忘れないように」ということで、すいとんメニューということだ。なお、今週は「学校給食週間」ということで、明日からはすき焼きやトンカツなどの横濱文明開化期メニューが並んでいました…豪勢だねこりゃ。ビールが欲しくなるだろうな先生たちは。

学校給食といえば昨年、青山にある国連大学で開催された「世界の学校給食展」を見に行った。ちょうど世界各国のネタを集めている最中だったので、私としては映画『スーパーサイズ・ミー』で紹介されていたアメリカのスナック菓子給食の実態や、フランスやイタリアの給食では給食もコース料理らしいぞ…といった噂の真偽など、各国ならではの個性あふれる給食事情がわかるのではないか、そしたら写真や資料も楽に借りられるし好都合だぞ。そんな程度の目論見で訪れたのだが……

本当は、貧しい国々(特にアフリカとアジア諸国)に暮らす子供たちの、暗鬱たる食糧事情の現実を見せつけられる企画だった。
貧しい国の子どもたちにとっては、学校給食がその日たった一度の食事であるという現実。労働力として必要だから学校なんか行かずに働け…という親たちから、給食を(文字どおり)エサにして子どもたちを学校へ連れだそうとする先生たちの戦いの記録。その「給食」にしたって、中身は雑穀にくず肉を混ぜてつくられた団子で、スープの具(他の具はせいぜい葉っぱ程度の)にするのが一般的だけれど、最も食糧難地域の子どもたちには、摂取する熱量(カロリー)を増やすために、(他の食料がないから)団子を油で揚げて調理するという実態……。スナック菓子だコース料理だなんてなにを浮わっついた構想を練ってたんだオレは。「見学後は青山のコジャレたカフェでランチでもするか、ワインの一杯も頼んで」などと浮かれてた気分がどんより沈んだ一日だった。

今日の給食がすいとんだからって、子供たちがじいちゃんばあちゃんの少年時代やくず肉団子の給食をすする世界の子どもたちに思いを馳せることなんかないだろうし、今すぐ思いを馳せる必要もない。パズルの1ピースとして記憶の片隅に埋もれてあれば、いつかその断片がはまって全体像が見える瞬間が訪れるだろう。そのとき、いろいろ考えたり行動してくれればそれでいいと思う、お前の親父としては。

※写真は、アフリカのなんとか族の人形。国立民族学博物館@大阪の所蔵品。